当事務所には、父の遺産に関して、兄がお金を独り占めしている!というご相談が多く寄せられます。
典型例は、相続開始前後に、兄が父やほかの法定相続人の意思に反して、父の預金を着服しているという事案で、地裁での返還請求の対象になります。
その応用例とも言えるものをピックアップしてみます。
(1)相続開始後に父の葬儀費用として、父の成年後見人からもらった費用。
成年後見人は、父の死亡後に発生した費用を父の財産から拠出する権限はありませんから、兄は、法律上の原因なくして葬儀費用相当額を得ていたことになりますので、返還請求の対象になります。
(2)相続開始後遺産分割前に生じた、父の遺産である不動産から出た賃料。
相続開始後の法定果実は、遺産でなく、法定相続人がその法定相続分で当然に取得するものなので、兄が独り占めをしていたら、返還請求の対象になります。
(3)遺産分割で共有となった不動産を兄が独り占めして占有しているとき、その賃料相当額。
あなたが兄と遺産分割後も兄が独占していいという合意をしていないときには、兄の占有が不法行為や不当利得になり、賃料相当額を請求できます。
これらも、遺産分割の対象でない事項なので、地裁で返還請求していくことになります。
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