相続開始前後に被相続人の預金を勝手に下ろした人に対して、ほかのきょうだいは怒り心頭で返せと言います。
一口に使い込み事案と言っても、態様は様々です。使い込んだ人の内面を推し量ると以下のように分類できます。
一つ。相続が開始したら、ほかのきょうだいに分けるのは嫌だという強迫観念から使い込む確信犯的事案。
一つ。親に預金の管理を任され、使っているうちに、自分の財布と親の財布が混同してしまっている、ずぼら事案。
一つ目は、たいていは使い道について、説明できない部分が多いですから、返還は容易な傾向です。
二つ目は、親のために使っている部分があり、それについて、その者が説明できるなら、返還される部分が少なくなる傾向です。
裁判所は、こうした横領事案なのか、そうでない事案なのか、事件の筋を見極めますので、この点を印象づける立証活動が必要になってきます。
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