数分後
いきなり
10人くらいの男の人が
入って来た

みんな一目散に
赤ちゃんを目指していた

わたしは横になっていた。

消防士の格好をしてる人もいたし
白衣を来た人もいた。
若そうで、でもそうでもなく
髪の毛が黒々として
濃ゆい顔だった

白衣の人は
赤ちゃんをじーっと診ていた。

診察が終わると
わたしの方に向き直り

「赤ちゃんを搬送します。」

分かってはいたももの
グルグルと歪んだ心のまま
離れてしまうのは
なんだか
寂しかった。

ついに行っちゃうのね。

どこの病院へ連れられて行くのか
知らないけれど。

「ご主人、付いて来てください。」

主人は言われるがまま付いて行った。
車の運転は大丈夫か心配だった。

彼も多分動揺してるだろう。
無事に行けるだろうか?

赤ちゃんは
どうなるんだろう。

どうか助けてほしい。

さっきまでは
達成感に満たされていたのに
一瞬で
不安で胸が押しつぶされそうだ。

何がいけなかったんだろう
どこが間違ってたんだろう

巻き戻せるなら
巻き戻したい

今までに感じたことのない
後悔に
襲われた。



赤ちゃんもいない
主人もいない
部屋には
横になっている自分。

虚しい。