湯島センチメンタルズ90s その2 | 超殺落劇場…限りなくホームレスに近いパパ

超殺落劇場…限りなくホームレスに近いパパ

最近、妻と別居する事となり、二人の愛する愛娘をおいて、
マンションを出る事になりました。
ほぼホームレス状態になった私のこれまで、そして、
これからの超転落人生をお楽しみください(#^.^#)
どこまで堕ちるのか?分析と解説を交えながらお伝えします。

その彼女だが、目は切れ長でシャープ
だが、尖った感じがない目だった。

鼻との位置バランスもオレ好みだった。

そして、笑うとさり気なく主張する、
右の八重歯がとても印象的だった。

その八重歯は、彼女全体をより引き立たせる
重要なミッションを果たしていた。

全体的に細身で、薄く茶色に染めた髪を
上に束ねて、いつもポニーテールにしていた。

オレは彼女のポニーテール姿がとても
大好きで、色々なヘアゴムをプレゼントした。

それは、彼女にポニーテールを
継続させるための「言葉無き催促」
だったのかもしれない。

オレにとって、彼女のポニーテール姿は、
世界遺産よりも貴重な存在であり、
「サマザマ」な生活のスタミナ源のような
ものになっていた。

特に後ろ姿の彼女の首筋は、潔白であり
明白であり、限りなくクリヤーな
美しさがあった。

「まとも」な男だったら必ず、
好きなガールフレンドの
体や仕草に、絶滅危惧種理論を
当てはめる。

そう、必ず「まとも」な男だったら、
ガールフレンドの中に、

「絶対に死守しなければならない場所がある!」

ものなのだ。

その箇所が人によって、

唇だったり、

笑顔だったり、

脚だったり、

人差し指だったり、

右耳だったり、

ホクロから生えた一本の毛だったりする。

オレにとって彼女の絶滅危惧種は、
ポニーテール姿の彼女の「首筋」だった、
というだけの事だった。

その秘境だけは、誰にも知られたくないと
思うのは、ごく自然で、ごく当たり前の
整理現象なのだ。

彼女は、オレを人並み以上に愛して
くれていたと思う。

オレも彼女を人並み以上に愛していた
とおもう。

オレは彼女に、何でも正直に話せたし、
とても自然な形で素直になれた。

そして彼女はオレをよく褒めてくれた。

それは、オレが要求した訳でもなく、もちろん
催促した訳でもない。

自分でも当時、器の小さい、取分け大した男では
ない事もよく理解していたし、よく知っていた。

しかし、なぜか知らないが、
彼女は、本当に良くホメてくれた。

他人から、こんなに褒められるのは幼稚園以来
本当になかったので、何だかとてもむず痒くて
不思議な感覚が走った。

「ゆうちゃんは、凄い人なんだよ」

オレが凄い??

という疑問は拭えないが、
褒められるという事が、こんなに
自信をつけさしてくれる事を
懐かしい感覚で改めて知る事に
なった。

さて、

この湯島で働く前のオレはというと、
中野にあった建設会社で日雇いアルバイト
として冴えない人生をひた歩いていた。

その仕事内容というと、力さえあれば
小学生でもできる極めて単純明快の
内容だった。

まずは、夜の11時頃に中野駅に集合し、
会社のバン車に拾わられ5~7人ぐらいで
現場となる東京駅付近か横浜駅付近に向かった。

その後、臨時に設けられた待機所で待機し、
最終の新幹線が通過したのを確認してから、
新刊線の線路内に入り、線路脇を2m間隔保って
スコップシャベルで小田原方面に向けて
穴を掘っていくという、単純明快の肉体労働だった。

穴を掘っては、ケーブルを通すための
杭を埋めていく作業をひたすら朝まで
繰り返した。

肉体は悲鳴をあげ、休憩以外少しでも
サボると怒り狂ったゴリラのように
怒鳴りはじめる方がいた。

奴らは労働者を「奴隷」でも扱うように
容赦はなかった。

ここは20世紀なのか?と思えるぐらい
オレにとって肉体的に本当の地獄だった。

複数の建設会社がその現場に入っていたので、
労働者の人数も、少なくて約30人、多い時で
100人を超える労働者が集結していた。

片づけや雑務を含めて夜間を7時間~8時間
働き、日当8000円也。。

事務所に帰って、現金手渡しポンッ('ω')ノ

そこには、

「オレ様が新幹線を支えている」

などと言う誇りは、微塵も存在しなかった。

今でも新幹線を見るとちょっと
ブルーな気持ちになるのは
オレだけだろうか。。。


つづく