アフガニスタンから帰ってきた本の虫 | エルゴの小人たち

エルゴの小人たち

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小さかった頃は2-3冊同時に本を読むのが好きだった。
好きな場所(お手洗い、自分の部屋、キッチン)に一冊ずつ
置いたままにして隙あらば読む、という感じに。
車酔いするくせに月夜の光(ん?本当は街灯かも?)の下で
友達の家からの帰りの車の中で読んだりもした。
「お姉ちゃん、一緒に遊ぼう!」と妹に誘われても
空返事してはソファに寝そべりながら読書に没頭した。


中学生くらいになると宿題や課題、テスト勉強が大変で
よく寝る前に読書をしていた。本当は眠いけどドキドキが収まらず
「あと1ページだけ…。この章が終わるまで…。」と
結局、徹夜まではいかないけど、かなりの睡眠時間を削って
最後まで読みきってしまうことが多々あった。


高校生になって、やっと日本語の漫画に目覚め、
やはり同じように夜寝ないで何冊も読み続けた。
水泳の練習もない日曜の朝、布団に包まって本や漫画を読む時間は
本当に至福の時で、今でもあの時間に戻りたいと思う。


大学・社会人になってからは忙しくて好きな本を読む時間が減った。
一人で電車に乗っている時に本を読んでしまうと
車内でポロポロ泣きだしたり、肩を震わせながら笑いを噛み殺したり、
かなり怪しい人になってしまう。
その上、降りたかった駅を乗り過ごしてしまうこともあり
色々と大変だから本は読まず漫画を読むようにしていた。
駅近のBook-offや駅構内の本屋で漫画を数冊買い
カバーをひっくり返して車内で読む。


母親になり、更に本を読むペースが落ちた。
細切れ時間内に集中して満足に本を読むことができず
一冊を読むのに凄く時間がかかる。
昨日やっと読み終えたのは、1年半前に買ったペーパーバック。

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1980年、アフガニスタンからアメリカへ亡命した作家さんが書いた小説。

一冊目のThe Kite Runner (邦題:君のためなら千回でも)は
従妹に進められて読み、自分と差ほど歳が変わらない子どもたちが
アフガニスタンではこんなに過酷な人生を送っていると知り
衝撃的だった。もちろんニュースで知っていても実際の生活は
小説や映画などを通さないと想像し難い。


二冊目のThousand Splendid Sunもやはりパワフルな小説で…
今度の主人公は女性が2人。ちょうど自分の婚期とも重なり
色々と考えさせられるものがあった。


これをきっかけに、アフガニスタンという国や文化に興味を持ち、
アフガニスタンや中東の複雑な歴史をかじってみたり
他のアフガニスタンを舞台とした小説や映画に沢山触れた。
Mには「なにがそんなに面白いの?」と訊かれるが、
私自身もその答えはよく分からない。


そして1年半前に出た三冊目のAnd the Mountains Echoed。
3世代に渡ってのストーリーだから今まで以上に登場人物が多く
話が複雑に絡み合って何度も「あれ?これ誰だっけ?」と
前のページを見返しては読み進めた。
最後の章を読み「家族の絆」の温かさに感動し涙が零れた。


どっぷり身を浸かって旅していた空想の世界から我に戻った。
久々に[満足のいく読書]ができたことに本のむしが疼く。