海岸線からは少し離れた、商業街の隅のほうにひっそりとあるので見逃されがちだけど、実は熱海にも魚市場がある。
今更ながら「食事ができる場所とか併設されていないかなあ」とホームページを見ていたら、「セリ見学」の文字が飛び込んできた。なんか楽しそうだな。
それも「7:40前後から」と少し遅めの時間の開催なので、東京を始発で出れば十分間に合う!と訪問することに。2026年1月11日の土曜日。

東京駅4時41分発の京浜東北線を皮切りに、品川始発の東海道本線に乗り換え、さらに小田原で乗り換え、熱海駅に到着したのは6時45分。(乗り換えなしの東京始発の東海道本線だと、熱海着7:07が最短)

時間に余裕があるので、海岸線に出て朝日を見ながらゆっくり市場のほうへ。

このあたりのはずなんだけどなあと思いつつもも、余りにも目立たなくて「これでいいのかな?」と近づいていくと、奥のほうに「熱海魚市場」の看板を発見。

地面に魚が並べられ、仲買人の方々がすでに集まっていました。
特に受け付けっぽい場所も無いので、その場にいた近くの方に聞くと、担当の方(釜鶴ひもの店の社長)が出てこられて、この魚市場やセリの仕組みなどを説明いただきます。この日の見学者は私一人だけ。

こちらの魚市場は、漁協によって作られたものではなく、上写真の木札に掲げられた地元の卸&小売業者さんで構成される「株式会社」スタイルであること。
たくさんのホテルや旅館がある熱海の街のニーズに応えていくためにも、この市場が存在する意味合いは大きく、しっかり守っていきたいとのことでした。

時間になると仲買人の皆さんが集結。この日はメインの定置網からの入荷がなく、量は少なめだそう。
初めは遠目に見ていたものの「もっと近くでいいよ」と声をかけられ、仲買人さんとほぼ同じ場所で、セリの進行を見守ります。

今まで魚市場のセリは何度か見ているけど、さすがにこの近さは初めて。邪魔にならないように、そしてしっかりマスクもつけて。

こちらの魚はマトウダイ。体の中心にある「大きな黒い斑点」を「的」になぞらえ名づけられた魚。これほど大きいのは、年に一回揚がるかどうからしい。

この時期の伊豆と言えばやっぱり金目鯛。全体の7~8割を占めていた。ただ、ちょっと型は小さめだな。

セリの後半に運ばれてきたのは、その日「網代」の魚市場で仕入れてきた魚類。
熱海の魚市場のセリの時刻が遅いため、伊東や網代といった大きな魚市場の流通の、調整弁としての役割も果たしているようです。

セリが一段落すると、「サプライズ」的に出てきたのがこちらの食事。この日は、イサキの姿づくりと金目鯛のあら汁。正直なところ、「参加費(2,000円)があるということは、ひょっとして何か食べるものが出てくる可能性があるかも」と期待していたので、思わず喝采(笑)
ただそれ以上に、市場の方がとても親切に丁寧に解説をしてくれるのがありがたい。出荷されているすべての魚の説明はもちろん、「セリ人の腕の見せどころ」みたいな話もお聞きできたり、一つひとつしっかりと質問に答えてくれる。
「魚市場やセリを間近に見たい」「実際の現場の方と話をしてみたい」など、お魚関係に好奇心が強い方にとっては貴重な場と思うので、ご興味あればこちらから!
「セリ見学」をしている意味を聞くと、市場の存在を知ってもらうためや魚食の啓蒙のためももちろんあるけれど、「少しでも市場の売上を増やすこと」が本音として大きいとのこと。セリ以外の時間は一部を駐車場として貸したりなど、あらゆる手段を講じて「市場を守り続けよう」とする、その切実な思いや姿勢をしっかり感じてきました。

食事が終わるころには、すでに片付けも終わり、人も車もほとんどがいなくなっていました。忙しいなか、丁寧なご応対ありがとうございました。そして御馳走さまでした。
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市場を出た後は「体を温めたいな」と、朝から営業している銭湯がないか探してみると、すぐ近くに8時営業開始の「山田湯」を発見。
場所は住宅街の中の細い細い路地の先。「こんなところに本当に銭湯があるのだろうか?」と思いながら進んでいくと・・・

なんか周りの景色に見覚えがある。10年近く前に一度立ち寄ったことがある場所でした笑

その後、駅の方にプラプラ歩いていくと、もう桜が咲き始めている。「熱海桜」といって、超早咲きの桜の品種です。
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この後、三島に寄って再び夕方に熱海に戻ります。その理由はこちら!
セリ見学をさせてもらった魚市場で、夜は「土曜夜市」が開催されていて(名前の通り土曜日のみ開催)。せっかく土曜日に来ている以上は、こちらにも参戦しないと。
但しその前に・・・朝のセリ見学でガイドをしていただいた方が代表を務める「釜鶴ひもの店」に立ち寄ります。
朝、会社のこともいろいろ聞いて、間違いなく良い店であろうことがひしひしと伝わってきたので、ぜひ見てみたいと。
会社の歴史はなんと160年ほど。今朝、話を伺った社長が5代目のようです。自前で腕利きの職人を抱えて、沿岸&近海の魚にこだわって・・・と、それだけでも好感持てるのに
(ピンク色の札に書かれた干物が地元産。熱海・網代・伊東などで獲れたもの)
今まで聞いたことがない、ヤガラとか伊勢海老の干物まで作ってる。ビジュアルもめちゃ美しいし、このレベルのひもの屋さんはそうそうは無いなと、しばし熟考したのち、ヤガラとホウボウを買ってきました。
ヤガラを袋から出した姿がこちら。干物なのでヤガラとしては小さいほうだけど、それでもかなり迫力がある。頭の部分が長すぎるのと、この部分はあまり食べるところがなく、「切ってから焼いた方がいいよ」とのことだったので
こんな感じで仕上げてみました。今まで食べたことある干物のなかでは、イシナギが一番だったけど、同等かそれ以上にこれは旨い!小骨が少なくて食べやすいのもマル。
頭の部分は、以前「魚河岸三代目」のコミックで「煎じて飲むと腎臓病に良い」とか書いてあったのを覚えていたので、(特に腎臓病ではないけど)この後、だしを取ってお雑煮にして使いました。
そして、再び熱海魚市場。「土曜夜市」へ。」
繁華街でもないし、どれくらい人が集まるものなんだろうか?と疑心暗鬼で近づくと、開始の17時30分のまだ少し前ながら、たくさんの人の声が聞こえてくる。
「夜市」という名前がついていたので、買物メインかなと想像していたけれど、実際は飲食が中心のよう。
出店されている各店で好きなものを買って、そのままなり焼いてもらったりして、奥のテーブルで食べるスタイル。干物がめちゃ安い!
こちらは、おつまみっぽいもの。
焼き場はこんな感じで、炭火で豪快に。
この日頼んだのは、しったか(500円)とまんぼうの肝(220円)
そしてアジの干物は、二つで150円。「ちょっと焦げすぎちゃったあ」とお店の人(笑)。
焼き牡蠣もわずか300円。プラス焼き代は個々の志でということだったので、200円を追加して支払い。
こちらの運営は、株式会社熱海魚市場の社長でもある
「宇田水産」さん。話を聞くと「熱海の飲食店のほとんどが観光客向けの経営で、地元の人たちが気軽に飲んだり食べたりする場を作りたかった」とのこと。その発想にはとても共感。
もちろん観光客など外部の人も歓迎とのことだけど、出発点は地元民に向けたもの。その言葉通り、殆どの参加者は顔見知り。そして自分のここまでの出費は、お酒を合わせても僅か1,870円!まさに気軽に繰り返し参加できる「夜市」です。
お酒のつまみ以外にも、まだ他にいろいろ売っていたのでせっかくなので買って帰ろうと
「わさび茎漬け」の文字が気になって、帰りの新幹線で食べるようにパンをひとつ。
創業100年の歴史を持つ
「山田豆腐店」さんでは、おぼろ豆腐も購入。家に戻ってすぐに食べました。醤油をかけなくても、それだけでも美味しかった。
そして会場を少し早めに出て帰宅の途に。糸川遊歩道の桜は、きれいにライトアップされていました。