IdeaEgg

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萩乃電機製作所

Amebaでブログを始めよう!

※古いNASから20年前に書いた記事が発掘されましたのでここに再掲します。
画像は当時の低解像度のものですのでご了承ください。何回かに分けて掲載いたします。

その7 内部構造

Overview. Left: Sample No.1 (Nr.262248/2). Right: No.2 (Nr.546177/4)

どうしても電極構造がみたくて、コーティングを剥いでしまいました。 (良い子の皆さんは真似をしないで下さい。)
右側が管頂排気(Nr.262248/2)、右側がステム排気(Nr.546177/4)のサンプルです。便宜上左側を旧型、右側を新型と呼称します。
どちらも典型的なシーメンスの板極管構造ですが、細部に相違が認められます。
比較してみるとまず目に付くのがゲッターの違いです。 明らかに材質が違い、旧型は茶色のゲッター膜を持ち、新型はお馴染みの管壁が鏡面状になるゲッター膜です。
ただしどちらもゲッターに限って言えば美しくありません。 硝子支柱と反対の陽極外側にゲッター源が有り、フラッシュの結果硝子壁面から反射したゲッタの廻りこみにより、 各構造物の影にならなかった部分が支柱側硝子壁面に、虎柄のゲッタ膜を作っています。
シールドの為に塗布された管壁の銀色の塗料にも違いが有り、 旧型は融解亜鉛塗料の様な粉っぽい物ですが、新型は通常のラッカー塗料状でした。

Element construction. Left: Sample No.1 (Nr.262248/2). Right: No.2 (Nr.546177/4)

裏側から光を当ててみました。 グリッドとアノードの間隔が広いのが目に付きます。 グリッドピッチは比較的粗く、上下のグリッド枠を除いて10本のワイヤで構成されています。
グリッドのワイヤは枠に対して真直ぐには張られておらず、V型に曲げられています。フィラメントはM字型で、同じ電流値で点灯させますと、新型の方が明るく見えます。

Left: Sample No.1 (Nr.262248/2). Right: No.2 (Nr.546177/4)

フィラメント下部の中央の支持部より硝子支柱に沿ってワイヤが上部へと伸びていますが、硝子支柱上端で固定され電気的には何処にも接続していない様に見えます。

良く見ると、2つのフィラメントテンショナーと下部から伸びたワイヤの間に矢印状に何か書かれています。おそらくカーボングラファイトを塗布して電極間容量の調整を行っていると思われます。

Left: Sample No.1 (Nr.262248/2). Right: No.2 (Nr.546177/4)

硝子支柱基部の加工も左側の旧型の方がスムーズなカーブで綺麗です。硝子支柱の直径も旧型のほうは上から下まで概ね均一ですが、新型のほうはバラツキが有ります。

Left: Sample No.1 (Nr.262248/2). Right: No.2 (Nr.546177/4)

Closeup. Left: Sample No.1 (Nr.262248/2). Right: No.2 (Nr.546177/4)

硝子支柱に倦め込まれたワイヤを補強する為の、硝子の盛り上り部分も旧型の方が綺麗に成形されています。

Left: Sample No.1 (Nr.262248/2). Right: No.2 (Nr.546177/4)

アノードは左右の端部分で支持ワイヤに固定されています。
旧型は陽極構成材の端部全てでワイヤを巻き込んだ上、広範囲を圧着しその後スポット溶接を行っているのに対し、新型はワイヤの巻き込み部分が丸まっておらず、圧着部分の面積も線状です。よほど旧型の方が丁寧に造られているのが判ります。

※古いNASから20年前に書いた記事が発掘されましたのでここに再掲します。
画像は当時の低解像度のものですのでご了承ください。何回かに分けて掲載いたします。

その6 ステム排気/直管/黄ラベル

第二次大戦後製造されたものです。電極構造は前述の「その5 ステム排気/直管/ラベル無し」やValvo社製も直管Baとそっくりです。

Base shell closeup. Left to Right: Sample No.1(Nr.17695)

 

前述の「その5 ステム排気/直管/ラベル無し」と比較しますと、ステムのピンチ部分(電極引出し線が貫通している所)が長くなっており結果、ガラス部分の全長が長くなっています。

Element construction. Left to Right: Sample No.1(Nr.17695)

Bottom view. Left to Right: Sample No.1(Nr.17695)

German Post 5-pin base. with Alumi shell.

 ベースシェルはアルミ製でピンはメッキされています。底部の白色絶縁物はステアタイト製ではなく、プラスティック製のようです。

元箱は大変綺麗な(ドギツイ配色の)元箱です。上側の開口部は型番とシリアル番号、コントロール番号が書かれた封緘紙でシールされています。また、下側の開口部はハトメで封印されています。


※古いNASから20年前に書いた記事が発掘されましたのでここに再掲します。
画像は当時の低解像度のものですのでご了承ください。何回かに分けて掲載いたします。

その5 ステム排気/直管/ラベル無し

おそらく第二次大戦終結以前に製造されたものだと思われます。但し元箱、本体に製造国・ロット番号・製造日コードなどの標記がないため実際のところは不明です。(第二次大戦後、物資不足の中での製造の可能性も十分に考えられます。)
頭頂部のエッチング標記の特長から推測すると、オーストリア製ではないかと考えます。

Element construction. 

Left: Filament tensioner side, Right: Getter side

Element construction. 

Left to Right: Bottom view

Stuffner element. 

Left: Overview, Right: Closeup

 

特徴的な「組紐」状の物が、ステアタイト製の電極位置決めスペーサーとガラス容器の間に使われています。
何よりも先ずこの「組紐」状構造物の材質が気にかかります。恐らくガラス繊維だと思うのですが・・
この「組紐」状構造物は、オーストリア製のシーメンスブランド真空管にのみ使われているのではないかと考えます。
具体的な手持ちのサンプルを挙げますと
 Ba ST型/鉄製ベースシェル・底部ベークライト/ベースリボンなし 原産国標記なし
 Ba 直管/全フェノール製ベース/ベースリボンなし
 E2d 「シーメンス・オーストリア」と管壁に記載あり ※マイカスペーサー使用の個体には「組紐」使用例なし
などに「組紐」の使用が認められます。

Elements closeup. 

Left: Getter cup, Right: Filament tensioner

 


ゲッター源は単純な構造ですが、指向性を持たせる為にL字型に曲げた金属板に取り付けられています。
フィラメントは細く薄い金属板の弾性を利用してテンションを掛けています。この金属板は直接ステアタイトのスペーサに接続されるのではなく、一度太い金属棒を介して接続されています。

 

German Post 5-pin base. with Phenol shell. 

Left: Overview, Right: Closeup Connection-Pin

一体型成型のベースシェルが使用されています。

この真空管は、他の構造が質素な感じを受けるのですがピン部分は、流石に業務用途管らしくしっかりとした造りになっています。

※古いNASから20年前に書いた記事が発掘されましたのでここに再掲します。

画像は当時の低解像度のものですのでご了承ください。何回かに分けて掲載いたします。

 

その4 ステム排気/ST管/ラベル無し

数ある「Ba」の形態のなかでも、特異な特徴を持った球です。
目に付くのが金色で表記されたロゴマークと型番です。

私の手持ちのサンプル内では唯一このST管形状のもののみ、金色の表記を持ちます。
またシーメンス製(シーメンス・ブランド)の「Ba」では唯一のST管形状だと思われます。

RFT NeuhausのAa,Ba,Ca等はこの外周器の形状をもとに造られたと推測します。

Element construction. (Sample Nr.716922)

 

Colseup Connection-Pin & German Post 5-pin base. (Sample Nr.716922)

かなり工数を省いた感じのベースで、ピン先端のテーパー加工が成されていません。
また、ベースシェルの高さは、事項の「直管型」よりもかなり短くなっています。

Left: Stuffner element, Right: Filament tensioner

Left: Logomark (Sample Nr.716922)

Lot number. (Sample Nr.716922)


※古いNASから20年前に書いた記事が発掘されましたのでここに再掲します。
画像は当時の低解像度のものですのでご了承ください。何回かに分けて掲載いたします。

その3 ステム排気/塗装有/茶ラベル

 

ナス管形状のなかでは、最後期型と思われますが是も立派な板極構造です。この他にもValvo社製のナス型と全く同一の物も存在します。
このサンプルはラベルや塗装、ベースピンの作りを見ると戦時型かもしれません。

2 version of Siemens 'Ba'. 

Left: Sample No.1. Right: Sample No.2.
右側のサンプルはベースシェルがアルミ製です。

Overview. Left: Sample No.1. Right: Sample No.2.

Lot number. Left: Sample No.1 (Nr.481868/4). Mid: No.2 (Nr.505203/4), Right: No.3 (Nr.535033/4)

元箱

 

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その2 管頂・ステム排気/塗装有/赤ラベル付

3 version of Siemens 'Ba'. 

Left: Sample No.1 (Nr.254681/2). Mid: Sample No.2 (Nr.401682/4). Right: Sample No.3 (Nr.444777/4).
 中央と右側はベースシェルの丈が左側よりも長い。

Left: Sample No.1 (Nr.254681/2). Mid: Sample No.2 (Nr.401682/4). Right: Sample No.3 (Nr.444777/4).

Sample No.1 (Nr.254681/2)

Sample No.3 (Nr.444777/4).

Left: Sample No.1 (Nr.254681/2). Mid: Sample No.2 (Nr.401682/4). Right: Sample No.3 (Nr.444777/4).
 製造番号の表記

※古いNASから20年前に書いた記事が発掘されましたのでここに再掲します。

画像は当時の低解像度のものですのでご了承ください。何回かに分けて掲載いたします。

 

その1 管頂排気/塗装無/赤ラベル付

Left: Sample No.1 (Nr.8223). Right: No.2 (Nr.26337)
 共に管頂排気、ゲッター無しのサンプルです。

 左側の方はロット番号からかなり初期の製造と思われます。

Left: Sample No.1 (Nr.8223). Right: No.2 (Nr.26337)
 左側はお馴染みのSIEMENSのロゴマークですが、左側は変形五角形の枠の中に丸で囲まれたSHとSIEMENSのロゴ。 1928年から1936年まで使用されたロゴマークです。
 ステムを貫通する線材は、ジュメット・ワイヤの様な赤銅色ではなく銀色の材質です。かなり太目のワイヤなのですが白金でしょう。

 

ラベルがくすんでいますがカルテン付きで元箱入りでしたので、在庫管の状況確認のために何度も稼働テストをされたのでしょう。

Sample No.1 (Nr.8223)

Sample No.2 (Nr.26337)

Left: Sample No.1 (Nr.8223). Right: No.2 (Nr.26337)

Left: Sample No.1 (Nr.8223). Right: No.2 (Nr.26337)
 左側の初期ロットは右側と比べると、かなり繊細な硝子細工を行っています。 硝子に埋め込まれたワイヤの硝子と接触する部分には、鉛の様な金属が巻かれています。

Left: Sample No.1 (Nr.8223). Right: No.2 (Nr.26337)
 グリッドは枠を除いて9本のワイヤで構成されています。(管頂排気、ゲッタ付きは10本)

Left: Sample No.1 (Nr.8223). Right: No.2 (Nr.26337)

Left: Sample No.1 (Nr.8223). Right: No.2 (Nr.26337)

Sample No.1 (Nr.8223)
 ピンの長さが以降で紹介する各サンプルよりも2mmほど短く、先端もテーパーが掛かっておらず丸まっています。

 

常用していたトランスの在庫が尽きてしまったので、初めて使うトランスを点検。

KenwoodのSGはアマチュア用なので結構ドリフトします。

まあ、高周波回路じゃないのでヨシとしましょう。

電圧比はおおむね22倍。

どれくらいでターミネートしましょうか?

 

ちょっと前に気分転換でラジオ修理をやってみました。

昭和の一時期、きわめて短期間だけ作られたポケット・ラジオ。

イヤホンで聴く真空管式ですがあっという間にトランジスタに駆逐されてしまいます。

一応受信できますが感度が悪く、たまに異常発振をおこします。

さっそくバラシてみます。

居間で酷使された5球スーパーと比べると美しい。

油煙や煙草のヤニにまみれていないのは、なんと素晴らしい事でしょう。

時間の経過は全てに影響します。

モールド抵抗にはクラックが入り、バラけているのも有ります。

抵抗・コンデンサは全交換。

とは言ったものの、こんな部品がついています。

この頃から出回り始めた複合部品です。

オリジナルは入手できません(奇跡がおこれば別ですが)ので、作ります。

薄いベーク板の上にディスクリート品を並べてポッティング。

コンデンサだけなので空中配線すればいいんですけど、雰囲気重視ということで。

電源はDC/DCコンバータでもよかったのですが、不便さも享受するためにマンガン電池。

このラジオにはBM-030Lという電池が指定されています。

この代用電池も作成。23A型電池を使ってシリコンチューブで外径を嵩増して、ホルダーは単5用を使います。

容量はオリジナルの25%位だから長時間稼働は無理ですが気分は昭和30年。

もういっこのは15F20型電池の中身だけを連結してSN-4端子を取付たもの。

このようなラジオで、放送電波から音楽や情報を得ていた先人に敬意を表して。

温故知新。

 

 

 

 

前記事でご案内した太い7ピンMT管用。

シールド筒というよりもリテーナーですね。

ロシア製MT管の脚ピンには若干細い(メッキで尖ってるヤツ)のが有りますが、これで脱落を防げると思います。