薬剤師まさのりのぼやき -38ページ目

薬剤師まさのりのぼやき

薬剤師だって人間だもの

薬局近くの個人医院の処方も多く受けている。
そこの先生はおっとりおおらか大雑把、処方内容に不備のない日がない。
用法、用量、処方漏れ、日数、指示の欠落、その他ありとあらゆるパターンで不備があるので全く油断ならない。
だがその先生の(薬局にとっての)いいところは、とにかくフットワークの軽いところで、診療中にもかかわらず必ず自分で電話に出て丁寧に返答を下さる。
しかしながらあまりにミス確認の電話が続くので先生すっかり条件付けされてしまい、近頃の第一声は「もしもし」ではなく「はいすみませんでした」なのが切ない。
あるいは受話器を取りながら独り言。「あれー違ってたかなー、はいもしもし?」というパターンもある。

医師としてはとてもいい先生だし、細かいミスに関しては薬局のフォローを信頼して下さっているのかなと前向きに解釈している。
子供の頃は12の倍数の掛け算が得意だったが、この仕事を始めてからは圧倒的に7の段もしくはそれ以上に14の段が得意になった。
だからたまに「12日分」なんて処方箋を見ると混乱する。昔はあんなに得意だったのに。
「13日分」なんてもってのほかだ。
混んでいるのに空気を読まず、延々話し続ける人はどこにでもいる。
僕はこういう人に遭遇したとき、終わる方向に話を切り替えていくのがわりと得意な方だ。
相槌を打ちながら領収書をさりげなく見えるところに出しておきつつ、話が一段落して相手が息継ぎする瞬間を狙うのだ。
しかし今日の奥さんはなかなかの強敵だった。
領収書に目もくれない。
体を半分斜めにして「そろそろ…」の空気を醸し出しても効果なし。
話は3巡している。内容は娘の仕事の悩み。そんな話ここでされても。
「…ということなんですね」と一旦話をまとめても、さらに追加情報を被せてくる。そもそもなんで今の部署に配属になったかというと、今年の3月に前任者が…。お願いもうやめてあげて、まさのりのライフはゼロよ。
そうこうする間に次々と別の患者さんが入ってくる。
空気読んで。お願い。
の祈りを込めて、相槌の合間に横を向いて新しく入って来た患者さんに挨拶(2回)して見せても動じない。
しかもこの奥さん、息継ぎをほとんどしないで延々話し続けるのだ。循環呼吸かよ。
話を切り上げるチャンスのないまま、僕は半分白目をむいて赤ベコのように頷き続ける。
他のスタッフはフル回転。いつもより余計に回っております。
こういうときもたまにはある。他のみんなに心で詫びつつ諦めるしかない。

今でこそ手書きの処方箋はほとんどなくなったが、以前はちょっとした規模の病院でも手書き処方箋で、規格漏れや使用部位の漏れなど、記載不備が山ほどあった。
その疑義照会の話。
そこの病院からの処方は初めてだった。

ベンザリン 1錠 × 28日分

規格漏れだ。
病院の代表番号にかけると、薬剤部に回された。
ロッテンマイヤーさんみたいな(イメージの)女性が電話に出て、
「当院でベンザリンといえば5mgですけど?」
くだらないことで電話してくるなと言わんばかりの口調でガチャ切りされた。

知るか!


今でこそ湿布の投与枚数は70枚までと上限が決められているが、昨年度までは無制限だった。

モーラステープL 252枚、(しかも2週間毎に)

なんてトンデモな処方もあった。
服、いらないんじゃないの?
そもそも36袋(プラスたくさんの内服薬)持って帰るだけで足腰痛めそうだ。

そんなある日、親類の家に行くと100袋はあろうかというMS温湿布の山。
なにこれうちの職場の在庫より多い。
聞けば「だって予備がないと不安だから…」と1ヶ月に必要な量の10倍近く溜め込んでいるらしい。
「そういうのは要るときに頼めばちゃんと出してもらえるんだから、次の通院までの1ヶ月分ぐらい置いとけばいいんだよ」と言ってみたが、坂上忍の鼻セレブみたいなものなんだろうなあ。

そして今年度。
枚数制限がかかったことで、もっと混乱や反発があるかと思いきや、意外にみんな粛々と受け入れている。
受診の頻度が上がるということもない。
やっぱり貯金だったんだなあ。

来週からゾピクロンとエチゾラムの投与日数制限が始まる。
さて、どうなることか。