神戸大学ラグビー部OB会長を務めさせていただいております吉川と申します。
1923年に創部されました神戸大学ラグビー部は、今年90周年を迎えることとなりました。
創部以来、長きにわたり良きライバルとして競い合った特に交流の深い各大学ラグビー部OB会の方々をはじめとするご来賓、本日伝統の三商戦を戦った大阪市立大学の現役幹部を含む現役学生諸君とともに、多くのOBの出席のもとこの記念の集いを開催できましたことを本当にうれしく思います。
私は1972年、すなわち創部49年目に入学致しました。
90年の歴史の半分にも満たぬ41年しか知らぬ若輩者ですありますが、大学ラグビー界において有数の歴史を持ち、学生の自主と自立を旨としながらもかつては同志社/関学とも互角の戦いをした伝統ある神戸大学ラグビー部が、現状に甘んじることなく上を目指してより良いラグビーが出来るように、そしてOB同志においてもより交流が深まるように尽くしていければと思っています。
その結果として10年後の100周年の機会には本日ご出席の皆様方に加え、もっと盛大に1世紀を祝いたいと祈念しています。
ラグビーをしている人に悪い人はいないと世間では言われているようであります。
自分で言ってはいけません。
どうもそのように見られているようであるということです。
何故でしょうか。
本日ここにおられる方々にはほぼ全員がラグビー関係者ですから、釈迦に説法みたいなことになりますが、ラグビーは他のスポーツには無い素晴らしい特徴がたくさんあります。
ボールゲームでありながら、格闘技の要素もふんだんにあります。
1チーム15人というもっとも人数の多い団体競技でもあります。
頑健な体だけでなく頭も必要です。
そして何よりもすばらしいのはONE FOR ALL ALL FOR ONE 、またノーサイドという言葉で示されるラグビースピリッツ、心だと思うのであります。
相手に勝つ為に相手を上回る闘争心や賢さが求められますが、決してラフプレーやズルさ、汚さは許されないということです。
ラグビー発祥の地、英国でジェントルマンのスポーツと定義されるのは、このラグビー精神があるからであります。
自画自賛してはいけませんが、ラグビーをする人に悪い人はいないの根拠はこういうことだと思います。
各大学におかれても同様だと思いますが、ラグビー部員の就職率がずば抜けて高く、学業成績ではかなり高位でないと入れない大手、名門または人気企業に採用されるのも当然でしょう。
体力・知力に優れ、闘争心もありながらチームプレー/フェアプレーの精神を身に付けているのですからね。
私は浪人/留年もせず高校と大学を7年間で終えてしまいました。
勉強をあまりしなかったことを全く悔いてはいませんが、もっと真剣にラグビーをするべきだったとの気持ちは今もひきずっています。
目標を掲げ、達成する為に自らを鍛え、チームの為に努力する、それが全て自分の為になるといっても、最近ではラグビーの質もまた取り巻く環境も昔とは変わりつつあります。
全国各地のラグビースクールで小学生からラグビーを始める選手はたくさん居ます。
科学的なトレーニングで以前より体格・体力ともに選手は強化されています。
ルールもどちらかと言えば攻める機会の多い側、すなわち力の強いチームに有利な方に変わってきました。
良いプレーをするため、良い試合をするための選手の負担は肉体的にも時間的にも金銭的にもかなり大きくなっています。
神戸大学ラグビー部が上を目指して戦っていくのであれば、学生達の自助努力だけでは限度があり、OBや学校当局からの支援も必要不可欠です。
一方OB会にとりましても、現役学生チームの成績が全てでないにしろ、現役諸君が頑張って良い試合をしてくれること、そしてその結果としてチームの順位が上がることがOBにとって最大の楽しみであり、OB会の活性化の為にも現役学生の活躍はとても重要なことです。
この90周年の節目は次なる100年に向けて、神戸大学ラグビー部の大いなる活躍と、そしてOB会にとってはOB同志のより親密な交流の場として、加えて現役チームに対しより多くの支援を行える組織として活動を強化し、発展するチャンスでもあると考えております。
本日ご出席の来賓各位、そして昨晩駐在地の南米チリより帰国し参加してくれたS52年の星川君他、遠方からかけつけてくださったOB諸氏に厚くお礼申し上げるとともに、これからも神戸大学ラグビー部とOB会に倍旧のご支援ご協力そしてまたご指導くださいますようお願い申し上げます。
また本日の集いに特にご苦労いただいた河野君、磯江君、天知君、坂下君、遠藤君、その他同期の仲間に積極的に働きかけてくださった学年幹事の皆さんにも、心よりお礼申し上げます。
ありがとうございました。
2013年6月23日
神戸大学ラグビー部OB会
会長 吉川邦英
現役諸君には学業も大切ではあるけれど、もっと自信をもってラグビーに打ち込んでもらいたいと思います。