教科書問題について…… | 神戸国語教育研究会カプスのブログ

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元日の朝刊は、各紙とも自社のスクープをトップに持ってこようとしのぎを削っているらしい。

2016年の読売新聞は、教科書採択の不正疑惑についてだった。以前からニュースになっていた会社だけでなく、別の会社にも疑惑がある、という記事。

他社はどこも報じていないのでスクープのだろう。

背景には、教科書会社の苦しい台所事情があるのでは?と個人的には感じている。

教科書の定価は、文部科学省によって上限が決められている。ちなみに、平成27年度版の中学校教科書の定価はこちらで確認できる。

ご覧の通り、同じ科目の教科書なら、どの会社のものでも同じ定価になっている。文科省の提示した上限の価格だ。一部、安い教科書があるように見えるが、たとえば三省堂の国語のように2分冊になっているからだ。2冊を合計すれば、他社と同じになる。

中学1年の国語の教科書なら784円。以前は、A5サイズだったが、今はB5サイズが主流。大学ノートと同じ大きさだ。しかもほぼ全ページがカラー刷り。これで784円。

サイズは大きくなる、白黒からカラーへ、とコストは増大しているが、それに見合う定価が設定されていない。検定をくぐり抜けるために時間をかけて作られているので、人件費もかなりのものと思われる。倒産した教科書会社も少なくない。

中学の教科書なら、一度採択が決まると、4年間同じ教科書を採用することになる。もし、今回の改定が不評で採択数が減れば、4年間打撃を受けることになる。

だから、なんとか採択してもらいたい、と必死になっているのだろう。

この背景構造を変えないかぎり、教科書から撤退する会社が出てきて、教科書の選択肢が減ったり質が低下したりするのではないか、と危惧している。


☆★☆ワークショップのお知らせ☆★☆


2016年1月24日(日)12:30~16:10 兵庫県立のじぎく会館

1.代表挨拶
 「『生き方GET BEST10』出版にあたって」
     松井仁(神戸国語教育研究会カプス代表)

2.特別研修講座(ワークショップ)
 「教員のためのファシリテーション入門~アクティブ・ラーニングを成功させるために~」
     青木将幸(青木将幸ファシリテーター事務所)


参加費 3000円(講座テキスト『生き方GET BEST10』代金含む)

お申し込みは、「こくちーず」下のページよりお申し込みください。(先着40名)
 http://kokucheese.com/event/index/355500/