イーサリアムスポットETFが大きなハードルをクリア──SECが主要な提出書類を承認

イーサリアム(ETH)スポット上場投資信託(ETF)は5月23日、アメリカ証券取引委員会(SEC)がこのファンドに関連する重要な届出書類を承認したため、実現に向けて大きく飛躍した。

しかし、まだ取引は許可されたわけではない。SECはETFに関連するいわゆる19b-4フォームを承認したが、投資家がETFを購入できるようになるにはS-1フォームを承認する必要がある。

今回の承認は、規制当局による驚くべき方向転換だ。今年初めにビットコインのスポットETFの取引を承認した後、SECはイーサリアムETFの発行者にあまり関与していないように見えた。それがここ数日で変わった。

ブルームバーグ・インテリジェンス(Bloomberg Intelligence)のシニアETFアナリスト、ジェームス・セイファート(James Seyffart)氏は、「1週間前なら、これらのETFがSECの承認を得ると考えるのは少し頭がおかしいと言っていただろう」と、決定に先立つインタビューで語った。

BOOM!! APPROVED! There it is. The SEC just approved spot #Ethereum ETFs. What a turn of events. It's really happening.

h/t @PhoenixTrades_ pic.twitter.com/KQ39mDyCbT

— James Seyffart (@JSeyff) May 23, 2024

グレイスケール(Grayscale)の広報担当者は声明の中で、規制当局が19b-4を承認したことを認めた。

「グレイスケールは、イーサリアムのスポットETFで規制当局と建設的に関与する機会に感謝している。また、ETFでイーサリアムをアメリカの規制の範囲に取り込む可能性について、引き続き楽観的だ」と彼らは述べた。

イーサリアムスポットETFの発行者となる可能性があるのは、ブラックロック(BlackRock)、フィデリティ(Fidelity)、グレイスケール、ヴァンエク(VanEck)、フランクリン・テンプルトン(Franklin Templeton)、ステラピーク(StellarPeak)、アーク・21シェアーズ(Ark 21Shares)、インベスコ・ギャラクシー(Invesco Galaxy)などだ。

19b-4の提出が承認されたことは、規制当局が発行者にイーサリアムスポットETFの市場投入を認める意向であることを示唆しているが、すべての発行者が提出したS-1フォームを最終的に承認することを保証するものではない。

S-1が承認され、ETFの取引が開始されるまでには、まだ時間がかかりそうだ。私の予想では、少なくとも1週間か、それ以上はかかるだろう。歴史に照らし合わせれば、もっと長く、数カ月単位になる可能性もある。しかし個人的には、このギャップは数週間単位になると考えている。今は誰もが推測しているにすぎないが」とセイファート氏は語った。

20日には、発行体の一つであるヴァンエクの申請の承認期限を目前に、発行体がSECに19b-4提出書類を更新するよう求められたという報道があり、業界に衝撃を与えた。

SECの広報担当者は23日、発表されたこと以上のコメントは差し控えると述べた。

21シェアーズの法務責任者アンドリュー・ジェイコブソン(Andrew Jacobson)氏は声明の中で、今回の承認は「正しい方向への重要な一歩」だと述べた。

CBOE(シカゴ・オプション取引所)グローバルのETP(上場取引型金融商品)上場責任者ロブ・マロッコ(Rob Marrocco)氏は5種類のイーサリアムスポットETF商品の上場を計画している同取引所は、ETFの「提供商品の拡大に興奮している」と述べた。19b-4の承認はこれらの上場への第一歩だ。

1月に導入されたビットコインスポットETFは、すでに暗号資産とETFの分野に大きな利益をもたらしており、イーサリアムスポットETFも同様にアメリカの投資家に安全で透明性が高く、規制が行き届き、アクセスしやすい構造でイーサリアムへのエクスポージャーを提供することができると考えている」と彼は述べた。

同取引所はETFを市場に投入するため、SECとの協働を継続するという。

ヴァンエクはイーサリアムETFの最初の発行者になることを期待していると、同社のデジタル資産調査責任者であるマシュー・シガル(Matthew Sigal)氏は述べた。

|翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Nikhilesh De/CoinDesk