4月の勉強会は、孫崎享先生をお招きして「バイデン政権の誕生と東アジア情勢」と題してご講演をいただきました。
ーーーーーーーーーーー
戦後、冷戦構造の中ではアメリカグループとソ連グループに世界が分かれていました
しかし、米ソ冷戦構造が終わると、アメリカがほとんど世界を制する中、アメリカに戦争で敗れた日本は、アメリカ一辺倒の外交を行ってきた
それはそれで、一理あった
しかし、中国が台頭する中に、アメリカ一辺倒でいいのか考えなければならない
今話題となっている尖閣諸島の問題について
日中国交回復の話し合いで中国の周恩来と直接対談したのが田中角栄総理、大平正芳外務大臣、同席したのが外務省の橋本恕アジア局中国課長
その、橋本恕さんが大平正芳さんが亡くなった後の大平追悼文書で明らかにしているのは、日中国交回復の詰めで、
周恩来が「これで協議することは終わりだな」と言ったことに対し、
田中角栄が「いや尖閣の問題がある」と発言したら、
周恩来は「その話を出すなら最初からやり直しだ」と発言したのに対し、
田中角栄が「それもそうだな」と言った、
結果として棚上げになったということが書かれている
ところが、日本の外交文書ではこの最後のところが書かれていないために、1995年頃から棚上げの同意がないと外務省が言い出して、当然国民がそれを信じているのが大問題である
米国は、沖縄を返還するときに、尖閣諸島は日米安保の対象になるが、それは日本の占領政策に基づき、領有権については日本、中国、台湾のいずれかということについては触れず、管轄権は日本にあると明言して、その方針を続けている
そのことを考えると、日米安保の対象にしても、米軍を動かすためには、戦争ということになるので、米国議会の賛成がなければ米軍は出てこないということになる
かつて、米中の戦争の強さについては圧倒的に米国であったが、今では米国のランド研究所の報告でも、中国の方が有利だということを表明するに至っている
したがって、軍事力で対抗するのではなく、外交力で米中問題が起こらないようにすべきであり、日本も外交の力で尖閣諸島、ひいては日本の安全を論じていかなければならない時代になったと認識しなければならない