政権の提唱する経済政策は、国民所得の増大にあることは言うまでもない。にも関わらずアベノミクスは、当初から国民の所得よりも、株が上がることをもって景気が良くなり、結果として経済も成長するというような論陣を張ってきた。しかし、株高は一般国民の所得の上昇に繋がらないのは、経済指標を眺めれば常識であり、株高を目標に掲げてアメリカの金融資本に奉仕するという姿勢は元々問題であった。
それにしても、その株高すら今年はどんどん売りをあびせられて株価が下がっている。元々日本の株式市場は、常に外国金融資本の餌食となり、えさとなっていることに気づかなければならない。株を上げさせてまず自分が儲け、日本の国民が株を買う頃には、チャンスを見て売りをあびせて、また儲ける。上げて儲け、下げて儲ける。すなわち、彼らの思うがままにコントロールされる株式市場に転じていることを、もっと政府はしっかりと見て対策をとらなければならないのではなかろうか。
昨年は彼らの要請に応じて、いったん止まっていた株価を国民の虎の子の年金まで投じて、無理して上げた。かつての自民党政権ならこのようなリスクの高い株式市場への年金の投資は絶対にしなかった。こうやって必要以上に株を上げて、外貨のご機嫌を伺い、しかも株価が十分高なったと判断すると一気にチャンスを見て彼らが売りに転じるのだから、正に国民のカネを外資に貢ぐ日本の政治の哀れさが目に映る。このようなことが行われているにも関わらず、新聞やマスコミは禁じ手である年金を株に投じるということについて問題ありと報じたという記憶は全くない。政治のレベルの低下と同時に、マスコミのレベルの低下が、この国の国益を大いに損ねているということを今こそ認識しなければならない。