「リーダーシップの本質」 | Captain’s Eye ~小林宏之 コラム~

「リーダーシップの本質」

最近危機管理やリーダーシップをテーマにした講演依頼を受けることが多くなってきた。リーダーの在り方によって、国や企業、組織の運命が左右される。企業も国も厳しい状況にある今日、トップのリーダーシップが求められているのがその背景ではなかろうか。


 リーダーシップも時代とともに変遷してきている。

1970年代頃までは権威型、親分型のリーダーシップが多かった。

1980年代になると、相手の状況に応じてリーダーシップを発揮するタイプのリーダーシップが尊敬されるようなった。

私も81年に機長に昇格した当時は、状況対応型の機長を目指したこともあった。しかし、事故防止を目的に、NASA(米航空宇宙局)や航空会社等によって開発されたリソースマネジメントが日本の航空会社にも導入され、飛行機も2名のパイロットによるハイテク機が主流になるとともに、機長、副操縦士がそれぞれの役割・機能をきちんと果たすことにより、はじめて安全で高品質の運航するようになると、リーダーシップはリーダーである機長だけが発揮するのではなく、副操縦士もその役割に応じたリーダーシップを発揮することが求められるようになった。

これは、何もパイロットの世界だけではなく、コスト競争が厳しく、人の配置も効率化を追求する現在、どの業界でも役割遂行型のリーダーシップが必然的に求められている。

そして、トップのリーダーシップの本質は、どれだけ、みんなの力をそれぞれの役割に応じて結集できるかという、コミュニケーション能力を中心とした、総合的な人間力ではなかろうか。