山桜 | いけず女優 こばやしあきこオフィシャルブログ

山桜

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吉野山
きえせぬ雪とみえつるは
嶺つづきさく櫻なりけり
(拾遺集一)


さて、櫻好きには居ても立ってもいられない時節となってまいりました。

つぼみが膨らみ、櫻並木がうっすらとピンク色にかわりだすと、いよいよやわぁ!とこちらまでドキドキしてしまいます。

京都は数え切れないほど櫻の名所がありますが、私はやはり地元嵐山・嵯峨野が一番好きです。
冒頭にご紹介した句は奈良の吉野山を詠んだものですが、まさに嵐山もきえせぬ雪かと見まごうほどの美しさ(*^_^*)
また、旧嵯峨御所・大覚寺境内の大沢池やすぐそばにある広沢池の周りは櫻並木になっていて、だんだんと色濃くなる櫻のトンネルを抜けると枝垂れ桜が咲き乱れ、まるでお花のシャワーのようです。

枝垂れといえば、東山・円山公園にある枝垂れ桜が有名ですが、この広沢のそばに咲く枝垂れたちは、皆その東山の兄弟櫻です。

この素敵な場所は桜守(さくらもり)・佐野藤右衛門さんの造園なんです。私有地ですから普段は入れませんが、見頃になると無料で解放して下さり床几に毛氈が敷かれ夜は篝火が焚かれます。昼間は愛くるしい可愛い花が、夜空に篝火で照らし出されるとまた妖艶な美しさに変わり魅了されます。いくら見ても飽きたらず時間を忘れてしまう、櫻にはそんな不思議な力があるような気がします。

そうそう、山桜ってご存知ですか?染井吉野がこんなに全国に広まったのはわりと近年になってから。江戸末期までは「さくら」といえば山桜が一般的でした。父はよく、その品のある姿から桜の中でも山桜が一番好きやと言っていました。そしてこんな事も…「昔から『あの人山桜みたいやな』って言ったりするんや。意味わかるか?」
花に例えられたからと喜んでいたらあきません。写真でお解りいただけるように、山桜は染井吉野と違い花が咲いているうちから若葉がつきます。つまり「葉が出る」→「歯が出る」出っ歯やねという意味なんやそうです(^-^;)
可愛いらしくさらりといけずな事を言う。なんとも京都らしいというか‥。
間違っても京都では、きれいだからと山桜に例えたりしはらんように、お気をつけ下さいね(笑)