1989年8月名古屋名鉄ホール公演「銭形平次捕物控・昨日消えた女」井上梅次脚本・演出 林与一。三林 京子。新藤 恵美。秋篠美帆。芦屋 雁平。松山英太郎。一の宮 あっ子出演。
手慣れた井上梅次監督の演出で実に面白い芝居だった。

林与一さんはかっこう良かったこんなに時代劇ぴったりの人は滅多にいない、立ち回りも綺麗だし、今でも彼の武士の役なんか見たいと思う。

私は絵師 国友 重次というシリアスな悪役だった。客席に出て小雁さんと芝居する所があった。ところが名古屋のお客さんはやたらと演技中なのに握手を求めて来る。芝居しながらだが悪役に徹しなければと結構大変だった。

日頃日活で石原裕次郎の作品なんか手掛けている井上梅次監督の演出は手際がよく役者をのせてくれる。

私の役だが悪役なんだが少し三枚目の味付けをしたら、与一さんに来たフアンレターに「国友重次役での小林誠さんはタモリさんに似かよった感じで楽しませて頂きました。林与一さんの魅力を充分引き出し出された心憎いばかりの演出だと私は喜んだ次第です。平成元年8月20日」とあった。

舟木一夫さんの歌「銭形平次捕物帖」が軽快に幕開きに流れる。幕が開くと国友重次の長い演説が始まる林与一さんのキレのいい台詞が流れる娯楽に徹した作品だった。