イタリア映画 フェルザン・オズベテク監督 「カプチーノはお熱いうちに」試写会へ。
カフェで働くエレナが、雨の日のバス停で出会った、感じの悪い男、アントニオ。
アントニオは、偶然にも同僚シルヴィアの恋人だった。
性格も生き方も何もかも違うのに、急速に二人は強く惹かれあってゆく。
13年後、親友と始めたカフェが成功し、アントニオとの間に二人の子供をもうけたエレナは、
多忙な日々を送っていた。
運命的な恋も、かつての情熱は失せ、夫婦関係には綻びが生じている。
そんな中、叔母に付き添って、がん検診を受けたエレナは、思いがけない結果を聞かされる・・・。
舞台となるのは、アドリア海を臨む美しい街、レッチェ。
吹き抜ける風は心地よく、人は陽気で、少し足を延ばせば碧い海が目の前に。
そんな街では、人が人を嫌いになるよりも、好きになるほうが、ずっと簡単なのではないか、と思う。
恋にも落ちやすいかもしれない。
よし、好きなことを形にするぞ!と若者は大志を抱きやすいかもしれない。
映画の前半は、するすると、全てがうまくいっているかのように見えた。
でも月日が経ち、13年後。
運命的な恋も、愛に変わったのか確かめる間もないほど、
育児と仕事に追われ、言い争いの耐えない結婚生活に変わっている。
その上、夫には別の女性の影もある。
これが現実だと。誰もが思う。
美しい街レッチェであろうと、どこでも。
そこに、エレナを病魔が襲うのである。
物語は、ここから先が、急に見えなくなる。
エレナは、どう生きるのか。
アントニオは、どう受け止めるのか。
周囲は、何を想い、彼女にどう接するのか。
エレナは果たして、生きられるのか。
先が見えていたストーリーから一転、
登場人物たちが見つめる景色、踏み出す一歩、放つ言葉。
ひとつひとつから、目が離せなくなる。ドキドキしながら、見つめ続けた。
そして、気持ちが飽和状態になったとき、、
ある時の中に、突然私たちは放り込まれる。
ああ、人生は、こんなふうに出来ていた、と。
輝くときが、あったのだと。
その眩しさに照らされたとき、心も体も、熱くなった。
「カプチーノはお熱いうちに」
シネスイッチ銀座にて、9月19日よりロードショーです。
http://www.zaziefilms.com/cappuccino/