ジャン・ピエール&リュック・ダルデンヌ監督「サンドラの週末」の試写へ。


大好きなフランス人女優、マリオン・コティヤール主演最新作です。



体調不良から休職していたが、ようやく復職できることになった矢先の金曜日に、


突然上司から、解雇を言い渡されたサンドラ(マリオン・コティヤール)。


社員にボーナスを支払うためには、、ひとり解雇する必要がある、と。


ようやくマイホームを手に入れ、夫とともに再出発をしようとしていた矢先の解雇だった。



しかし同僚のとりなしで、週明けの月曜日、16人の同僚たちによる投票を行い、


ボーナスを諦めてサンドラを選ぶ者が過半数を超えれば、仕事を続けられることになる。



サンドラをとるか、ボーナスをとるか。


彼女は家族に支えられながら、同僚たちを説得して回る、短くも長い、シビアな週末が始まる。



サンドラと同様に、切羽詰まった同僚たち。


ボーナスは贅沢ではなく、それがあって、なんとか生活できるという者。


家族とサンドラの間で板挟みになる者。


それぞれの事情を彼女も痛いほど分かり、何度も挫けそうになりながらも、


それでも、一人一人の家を訪ね、頼みにいく姿は、いつしか巡礼者のようにも見えた。



そして決戦の月曜日。


サンドラの鼓動は、私の鼓動と重なり、静かな緊張の中、結果を待ち受けた。



途中から涙が止まらなくなった。



ダルデンヌ監督の作品は、「息子のまなざし」でも「少年と自転車」でも、


いつも不意打ちのように、泣かされる。


ずっと、淡々としていて、観客の私はそれを見つめているだけなのに、


いきなり心の奥底にあった自分の感情に、強烈な光を当てられたような、


そんな気持ちになる。



映画を、兄弟で撮られていると知って、このような映画を生みだすお二人は、


どんな雰囲気なのだろう、、、


と、長い間、考えていた。


人を寄せ付けないような厳格な雰囲気の方たちなのか、


人を包み込むような優しい眼差しの方たちなのか、、、と。


お兄さんは優しくて、弟は怖いのか、とか。








お二人とも、天使のように優しかった。



先日、「サンドラの週末」レセプションがあり、来日されたお二人にお会いすることができました。


ユーモアと愛情、たっぷり、足取りも軽やか。


こちらの拙いフランス語と英語にも一生懸命耳を傾けてくださって、感激しました。。



心に訴えかけることを知っている人は、


こんなにも温かいエネルギーに溢れているのだなあ、、と帰り道、また胸がいっぱいになってしまった。



「サンドラの週末」 5月23日 Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町他、

全国順次ロードショーです。



サンドラと家族の、崇高な戦いを、ぜひ、スクリーンで。