東京・丸の内の静嘉堂文庫美術館にて本日開幕の、
大阪・関西万博を記念した展覧会
「修理後大公開!静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」内覧会へ。
酒井抱一
麦穂菜花図
静嘉堂@丸の内の開館から3周年となる本展では、
2025年、大阪関西万博を記念し、岩崎彌之助、小彌太父子および、静嘉堂ならではの東洋絵画の優品が一堂に展示されています。
あわせて、後世に伝えたい所蔵品を「未来の国宝」として紹介。1999年から続けてきた文化財修理事業でよみがえった作品群も公開され、文人趣味を反映した水墨画、文人画が中心となっています。
中でも気になったのは、明代後期の画家である謝時臣の「四傑四景図」。中国古代の英傑の苦難の時代が描かれていて、各幅に四字題が示されていました。
例えば、こちらは「妻不下機」(さいかふき)。
戦国時代の外交の策士・蘇秦(紀元前317年没)は、はじめ秦の恵王に遊説するが、聞き入れられず、数年ぶりに困窮して帰郷する。沢山の書物を下ろし、ボロボロの着物を着た蘇秦が挨拶をしても、妻は機を下りることなく無視されてしまう屈辱的な場面が描かれています。
発奮した蘇秦は、公題の秘策を読むなど研鎖を積み、ついに各国を説き伏せ、六国の合従に成功したそう。仕事で失敗して、ぼろぼろになりながら帰った自分を無視した妻…。蘇秦が不憫でたまらない。夫の再起を願って、妻が心を鬼にして無視したことを祈るばかりです。
「王孫一飯」
貧しい韓信は、毎日のように川で釣りをして暮らしていた。ある日、洗濯をしていた老女がその様子を見かねて、食べ物を分け与えた。
それからというもの、韓信はしばらくの間、その老女の好意に甘えて食事を得ていたという。
ある日、彼は「いつかこのご恩に必ず報います」と言った。「自分の食い扶持にも困っているくせに、何が恩返しだい。」
その言葉が、ぐさりと韓信の胸に刺さった。
のちに韓信は前漢の高祖、劉邦に仕えて、大将として数々の戦法を立てる。
毎日釣りをしていた男が、国を動かす男になるとは。。何が彼を変えたのだろう。
彼には「股くぐり」や「背水の陣」など多くの逸話が伝わるが、最期は謀略にかかり、非業の死を遂げた。
「背水の陣」は、まさに韓信が編み出した戦法。
貧しき日々、川辺で竿を垂れながら、彼はどんな想いを巡らせていたのだろう。
読書好きとして心を惹かれたのが、
陳紹英の描く「夏景山水図」。
山中で一人静かに読書する幸せを描いた作品。
滝の流れ、木々が風に揺れる音、自然の調べに包まれた岸辺の書斎に、ひとりの文人が座す。
俗世を離れ、静寂と知の愉しみに浸るその姿は、私にとって、まさに憧れの生活そのもの
この作品は、1970年の大阪万博にも出品されました。
展覧会ラストには、同じく1970年大阪万博の年に東博東洋館で展示された、曜変天目も。
何度観ても、深遠な輝きに見惚れてしまいます。
ああ、東洋美術って面白い。奥が深い。
「修理後大公開!静嘉堂の重文・国室・未来の国宝」
2025年10月4日(土)~12月21日(日)
前期:10月4日(土)~11月9日(日)
後期:11月11日(火)~12月21日(日)
★前後期でほぼ全作品入替