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東京都美術館で開催中の

「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」へ。

フィンセント・ファン・ゴッホの作品三十点余りとともに、家族が守り、つないできたコレクションや手紙が展示されています。

"画家として生きること”を支えた家族の存在を通して、あの鮮烈な色彩の奥に潜む静かな物語が浮かび上がっていました。

なかでも印象に残ったのは、ポスターにも使われている

自画像。

ゴッホは生涯で四十点以上の自画像を描いていますが、この作品はパリで最後に描かれた一枚だという。

弟テオの妻ヨハンナは、「これが一番、彼に似ている」と記しています。

絵の中の彼は穏やかで。

明るい色調、柔らかな筆のリズムが感じられて…

しばしば語られる孤独や狂気の影はここにはなく、代わりに、静かに安らぐような表情がありました。

もしこの姿が、家族の記憶のなかの"本当のゴッボ"なのだとしたらーーそう思うと、胸の奥が少し温かくなるようで🫶


生前、彼の絵が売れたのはわずか一枚。

それでも、今こうして世界中で愛されているのは、弟テオ、そしてその妻ヨハンナの存在があったから。

ヨハンナは夫の死後、膨大な作品と手紙を整理し、世に送り出しました。

彼女の尽力がなければ、私たちは今日この色彩に出会うこともなかっただろうなぁ。

会場を歩いている中でふと、

ゴッホの物語を照らすもう一つの光として、ヨハンナを主役にした映画があってもいいのではないか、と思いました。

彼女の手の中で、

フィンセントの夢は再び息を吹き返したのだから。















松屋銀座で開催中の

神津善之介さんの個展へ。


今年の個展のテーマは

「Entre suspiros y suspiros ため息とため息の間に」。

これはスペイン語の慣用句で使われるもので、

Suspiros は「ため息」と訳すそうなのですが、

この場合は「吐息、呼吸」という意味合いになり、

「呼吸と呼吸の間くらいの一瞬の速さ」という慣用句なのだとか。


呼吸と呼吸の間。


思わず、自分の呼吸で確かめてしまった。

ほんの一瞬の、静かな間。

美しいな。

世界の慣用句、沢山知りたいな。


神津善之介さんは、その慣用句を知らず、

ずっと「ため息とため息の間」と勘違いしていたそう。

ただ、「ため息とため息の間」というフレーズが詩的でとても好きだったので、いつかこのフレーズを個展のタイトルにしたいと思っていて、遂に今回、そのタイトルがつけられました。


「ため息とため息の間に、何かしら、ため息を掻き消してくれるような存在を人は求める。

そんな存在に私の絵がなれたら良いなと心底思う。

悩みから出るため息が、ほっとした吐息に変われるように。」


写真1枚目は、「フォンテーヌブロー、秋の朝」

春でも夏でも冬でもない、ああ、秋の朝の光は、

こんな色だなぁと。

美しい秋の光を前に、幸福なため息をつきました。

神津善之介さんの絵は、現代の印象派のよう。

光がどんな風に世界を見せているのか。

空は私たちに何を教えてくれるのか。

明日はもっと、朝陽を浴びて、空を眺めたい。

強く、思いました。


11月3日まで。






🇮🇹

嬉しいお知らせが、海の向こうから届きました👏

イタリア・トリノで

9月25日~10月4日にて開催された

第12回 TORINO UNDERGROUND CINEFESTという映画祭にて、主演映画「あみはおばけ」が、

長編映画部門にノミネートされ、

なんと、なんと…

最優秀作品賞に選ばれました😭

最優秀作品ということで授賞式の後に改めて上映してくださったそうです。

生きていると、思いもかけない幸せなことが、

あるものですね。

トリノの映画祭のみなさま、ありがとうございます!

発表の瞬間、いたかった!行きたかった!トリノ!

グラッツェ!!

🇮🇹

そして更に嬉しいことに、

ようやく、12月より、「あみはおばけ」の配信が始まるそうです!

どこから配信されるかなど詳細が決まりましたら、

またお知らせいたします📢

どうぞお楽しみに!








東京・丸の内の静嘉堂文庫美術館にて本日開幕の、
大阪・関西万博を記念した展覧会
「修理後大公開!静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」内覧会へ。



伝 尾形光琳

「布引滝及び鶏図」




酒井抱一
麦穂菜花図

静嘉堂@丸の内の開館から3周年となる本展では、
2025年、大阪関西万博を記念し、岩崎彌之助、小彌太父子および、静嘉堂ならではの東洋絵画の優品が一堂に展示されています。
あわせて、後世に伝えたい所蔵品を「未来の国宝」として紹介。1999年から続けてきた文化財修理事業でよみがえった作品群も公開され、文人趣味を反映した水墨画、文人画が中心となっています。

中でも気になったのは、明代後期の画家である謝時臣の「四傑四景図」。中国古代の英傑の苦難の時代が描かれていて、各幅に四字題が示されていました。



例えば、こちらは「妻不下機」(さいかふき)。
戦国時代の外交の策士・蘇秦(紀元前317年没)は、はじめ秦の恵王に遊説するが、聞き入れられず、数年ぶりに困窮して帰郷する。沢山の書物を下ろし、ボロボロの着物を着た蘇秦が挨拶をしても、妻は機を下りることなく無視されてしまう屈辱的な場面が描かれています。



発奮した蘇秦は、公題の秘策を読むなど研鎖を積み、ついに各国を説き伏せ、六国の合従に成功したそう。仕事で失敗して、ぼろぼろになりながら帰った自分を無視した妻…。蘇秦が不憫でたまらない。夫の再起を願って、妻が心を鬼にして無視したことを祈るばかりです。


「王孫一飯」

貧しい韓信は、毎日のように川で釣りをして暮らしていた。ある日、洗濯をしていた老女がその様子を見かねて、食べ物を分け与えた。

それからというもの、韓信はしばらくの間、その老女の好意に甘えて食事を得ていたという。

ある日、彼は「いつかこのご恩に必ず報います」と言った。「自分の食い扶持にも困っているくせに、何が恩返しだい。」

その言葉が、ぐさりと韓信の胸に刺さった。

のちに韓信は前漢の高祖、劉邦に仕えて、大将として数々の戦法を立てる。

毎日釣りをしていた男が、国を動かす男になるとは。。何が彼を変えたのだろう。

彼には「股くぐり」や「背水の陣」など多くの逸話が伝わるが、最期は謀略にかかり、非業の死を遂げた。


「背水の陣」は、まさに韓信が編み出した戦法。

貧しき日々、川辺で竿を垂れながら、彼はどんな想いを巡らせていたのだろう。



読書好きとして心を惹かれたのが、




陳紹英の描く「夏景山水図」。

山中で一人静かに読書する幸せを描いた作品。

滝の流れ、木々が風に揺れる音、自然の調べに包まれた岸辺の書斎に、ひとりの文人が座す。

俗世を離れ、静寂と知の愉しみに浸るその姿は、私にとって、まさに憧れの生活そのものラブ

この作品は、1970年の大阪万博にも出品されました。



展覧会ラストには、同じく1970年大阪万博の年に東博東洋館で展示された、曜変天目も。
何度観ても、深遠な輝きに見惚れてしまいます。

ああ、東洋美術って面白い。奥が深い。

「修理後大公開!静嘉堂の重文・国室・未来の国宝」
2025年10月4日(土)~12月21日(日)
前期:10月4日(土)~11月9日(日)
後期:11月11日(火)~12月21日(日)
★前後期でほぼ全作品入替




発売中の「サンデー毎日」の「サンデー俳句王」にて、選者を務めております。

今号の兼題は、「蜜柑」と「伝」。

子供の頃を思い出すような懐かしい蜜柑の句、思わず笑顔になるユニークな句、そして気持ちが溢るる愛おしい区…

たくさん寄せて頂きました。

読むほどに温かい気持ちになれる俳句が並んでいますので、ぜひ誌面で味わっていただけましたら…!