「うちの子、落ち着きがないんです。」

 

そう、困り感を話される親御さんは少なくありません。

 

しつけのせいかもと、自分の子育ての仕方を責める方もいます。

 

今回は、「落ち着きがない」理由と、家でぜひやってほしい遊びを紹介します。

 

 

  「落ち着きがない」理由

 

①脳の「抑制」に働く機能が未発達

 

脳には前頭前野と言われる部分があり、人間らしい生活を送る源の部位ともいわれています。

 

 

前頭前野の機能としては

 

・考える

行動や感情をコントロールする

・コミュニケーションをする

・記憶する

・応用する

・集中する

・やる気を出す

 

お酒を飲むとまずやられる部分ですね。

 

自分も思い当たるふしがあります。(自分はめちゃくちゃ多弁になります。非常に迷惑です。)

 

前頭前野は脳の中で最も高度で複雑な働きを司る分、脳の中で最も発達が遅い部分とも言われています。

 

発達が気になる子は、定型発達の子に比べて脳の成長にアンバランスさがあるため、前頭前野の発達が、よりゆっくりなことが多いです。

 

また、脳の発達は、興奮系が先に成長し、それに見合った抑制力が後から育つ「興奮系優位」の状態で進みます。

 

 

小さな子が思い通りにいかないときに、すぐに泣いてしまうのはこのためです。

 

抑制力が発達していないと、感情や行動をコントロールするのが難しくなります。

 

発達段階に応じて、興奮に見合った抑制力が見についていきますが、発達が気になる子たちは抑制力の成長に時間がかかる場合があります。

 

そのため、お子さんに合わせたトレーニングが必要になるのです。

 

トレーニングをしていくことで興奮系よりも抑制系が大きくなっていきます。

 

 

 

②感覚刺激の処理に苦労している

 

お子さんによっては、目に入った情報に注意が引っ張られやすい子や、音情報にやたらと反応してしまう子がいます。

 

自分は聴覚優位といって、音に反応し過ぎてしまう特徴があるので、何か作業をするときはテレビやラジオを消すようにしています。

 

誰しもが、感覚の受け取り方には差があるのですが、感覚を受け取る器が小さく、すぐにいっぱいになってしまう子は、集中力を持続するのに苦労します。

そういったお子さんは、感覚刺激が少なく済むように生活場面で配慮することで行動が落ち着くこともあるかもしれません。(例えば、何か作業をするときは静かな場所や壁に向かって行うなど)

 

 

 

 

  落ち着きがない子に家でやってほしい遊び

 

興奮をアクセル、抑制をブレーキだとすると、発達が気になるお子さんはアクセルの微調整が苦手な車です。

 

まずは、アクセルとブレーキを交互に使う練習や、ゆっくり動く練習をしていきましょう。

 

「動」と「静」の動きをコントロールする遊びがおススメ

 

 

①平均台を使った遊び

 

 

平均台は、自分の体に注意を向けて、バランスをとりながら慎重に動きたくなる遊びです。

 

平均台がない場合は、代用品としてセリアやホームセンターで売っているクッションブロックをつなぎあわせたものが良いと思います。(転倒のおそれがあるのでしっかり固定しましょう)

 

 

ビニールテープで線を引いた上のもありですが、少し高さがあるものの上を歩く方が、落ちないスリルがあってわかりやすいと思います。

 

平均台渡りが慣れてきたら、物を落とさないように運んだり、「ストップ」の合図で

止まるルールを作ったりするのも◎です。

 

 

 

②だるまさんが転んだ

 

「動」と「静」の切り替えが練習できる、昔ながらの遊びです。

 

慣れてきたら、止まっている時間を延ばしたり、リズムを早めてみたり、応用をきかせるとさらに難易度がアップします。

 

さらには「クマさんが転んだ!」のように、お題を出してお題通りに動けなかったらアウトのようにしてみても面白いですね。

 

  おわりに


このブログを読んで、さっそく「平均台遊び」と「だるまさんが転んだ」を試してみたのに、うまくいかないこともあると思います。(むしろうまくいかないことの方が多い)

 

お子さんの特性や感覚の受け取り方は一人一人違うので、全員に効く魔法の遊び(関わり方)は正直ありません。

 

ですが、いろんな遊びを一緒に試す中で、お子さんの個別性が見えてくることもあると思います。

 

脳と体は相互関係で成り立っています。

 

普段と違った体の動かし方が見られたら、行動にも変化が見られるはずです。

 

お子さんが楽しめる遊びを通して、お子さんの小さな変化をキャッチしていきましょう。