まだ日本公開が決まっていないジョーダン・ピール監督のホラー映画「Us」。ホラー映画のサントラというのは一般にショックサウンドが印象に残ってしまうが、時としてサントラ史に残る名作になることもある。

例えばゴールドスミス作曲の「オーメン」では「アベマリア」ならぬ「アベサンターニ」という悪魔賛美の合唱曲が作品の質を格段にあげていた。今回の「Us」も、その時のセンセーションほどではないが、合唱という武器を使い、印象的なテーマ曲を提示している。ブルガリアンボイスの歌唱にも似たそれは、しかし次第に男声にも広がり、特に低音が魅力的だ。

「グレートウォール」「ハン・ソロ/スターウォーズストーリー」など、近作でもブルガリアンボイス的合唱が使われている例はあるが、今作は男性が入ることによりまた違った合唱の種類が加わったかのように感じる。

他のアンダースコアもショックサウンドはむしろ影を潜め、ニューヨークのミュージシャンによる美しいオーケストラサウンドが基軸となっている。しかし新しい作曲家らしく現代的な音処理も聞こえ、古さは感じない。