G20
モスクワで開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議が閉幕しました。
G20という会合は、いわゆる先進国で構成されるG7に、ロシア、中国、インド、ブラジル、南アフリカといった成長著しい新興市場国を加えたフォーラムです。
私が事務局で携わっていた時は、G20のコミュニケ(声明)はコンパクトでありましたが、最近はボリュームが増えましたね。
それだけ、新興市場国の力が相対的に上昇し、様々な論点が議論の俎上に上がりやすくなったのかもしれません。
今回のG20の主要議題の一つは、「為替」でした。
特に、足元で進む円安の動きに対して、一部の先進国・新興市場国から、「通貨切り下げ競争の引き金になる」とか「近隣窮乏化政策(=自国通貨の価値を意図的に下げて、自国の輸出増(相手国にとっては輸入増)を図る政策)」といった批判がありました。
こうした背景の下で、今回のコミュニケでは、通貨の競争的な切り下げを回避することや、競争力向上のために為替レートを動かすことはしない旨が明記されましたが、「日本」または「円」が名指しで批判されることは回避されました。
当たり前です。
確かに、安倍政権が推進する大胆な金融緩和が、結果として、足元の円安傾向に影響をもたらしているというのはその通りだと思います。
しかし、それは、円相場を動かすことに主目的があるのではなく、景気回復にとって必要だから実施しているのです。
世界第三の経済大国でこのままデフレが続くことは、世界経済にとっても良いことではありません。
また、金融緩和を行っているのは我が国だけではありません。
リーマンショック以降は景気後退局面に入った欧米諸国においても行われてきています。
むしろ、日本を含めた先進諸国が議論しなければならないことは、金融緩和主導の景気回復に頼り切るのではなくて、財政健全化を含めた構造改革を断行していくことによって、自律的な成長プロセスへと乗せていくことです。
後世から振り返ってアベノミクスが成功したと言われるためにも、政治が古いしがらみを断ち切って、成長戦略、構造改革を断行しなければなりません。