うちの大学では、5年生の夏から6年生の夏までの約一年間を臨床実習の期間に充てている。その期間で病院内に存在する全ての臨床科を2週間単位でまわっていき、各々の科で患者さんを受け持たせていただき、少しずつさまざまなことを学ぶようになっている。
 この一年間本当にいろいろな患者さんと出会い、別れていった。無事に回復されて退院されていく方もいれば、本当に悲しいことに病院で亡くなられる方もいた。僕達臨床実習生はそんな患者さん一人一人の想いを背負っていかないといけないと僕は思っている。だから、最低限度の知識は勿論のこと、なるべく最新の文献なども調べるようにしていた。そして、なにより毎日何度も患者さんのところに伺うようにしていた。
 でも、中には僕とは考え方の違う人たちもいた・・・。平気で遅刻・欠席をする人、ただ単にカルテだけを写してレポートを書けばいいと思っている人、患者さんにははじめの紹介のときしかあっていない人などさまざまだ。同じ大学に在籍しともに医師を目指している間でもだんだんそういう人達とは隔たりができてしまう。しかも悲しいことにそういう人は少なからぬいるということだった。だから、この一年間本当に辛いことも多かった。そんな時僕の心配をしてくれたのは、患者さん自身だった。
 自分自身も病気で大変なのに、挨拶に行った僕のことを気遣ってくれる。そんな時僕は本当にこの人のためにもきちんとした医者にならなければならないと思った。なによりも患者さんに近い医師になれるようにがんばろ~う。