雨が降らない。

リモートも始まり、週3日通勤するが、駅まで歩くとひやりとした感覚が、やがてホカホカしてくる。変な人に見られるが、電車に乗り込む時はコートもジャケットも網棚に置き涼む。席に着けば背後に富士山。フジテレビの謝罪会見みたい、と周りに言うと、ププッとマダムたちみたいな、上品な反応である。


家で娘にACジャパンのティシャツ作ろうかな、と呟くと、返事がなかった。



仕事はどう?とようやく誰も聞かなくなった。結局は巧くやってんだろう、という反応だ。仕事が難しくて辛い、周りが学歴高過ぎるとか、愚痴でも言えば良かったが、私なりに楽しくやっており周りからは前からここに勤めていたい、とまで言われている。

私はビジネスだろうとガバメントだろうと、働く以上はその職務なりポジションを演じきること、とポリシーがある。警察官になったら過ちを見つけ追いかけて、泥棒になったら、裏の裏をかいて名画を盗むだろう。そうやって染まることを心掛けていれば、ストレスは見事に軽減できるのだ。

「民間は」といよいよ私も口から出るようになった。オフィスではそれが一番通りが良いからだ。だが若手の分際で「業者(三菱商事とか出光興産とか)が」と言うと、こう、たしなめる。


「業者さん、と呼ばないと。お高くとまってると見られても困るよ」

私はこうして還暦直前に官僚やプロバー(職員)たちに口添えし、色を変えようと頑張っている。






後はこの部署のミッションには出張とかが無く、外部(産学)との接触は禁じれている。だから、昼メシはオフィス近くの飲食店で取ることになる。

ま、いいか。これも考え方次第。毎月ニューヨークだミュンヘン、ロンドン、行かされて生理不順になるほど生活リズムを崩した10年、パンデミックで5年弱、いろんな環境を経験してここまでたどり着いた。

さて、ちょっくらまた仕事してやるか。夜の酒が美味くなるように。