公害の原点といわれる水俣病の未認定患者救済問題が、ようやく解決へ大きな一歩を踏み出した。公明、自民の与党プロジェクトチームが新たな救済策をつくるため被害実態調査を政府や熊本県などに要請、来年度に約8億円を使って行うことが決定したからだ。
水俣病は今年で公式確認から50年。しかし、国の行政責任を一部認めた一昨年の最高裁判決後は新たな認定申請者や司法救済を求める人が続出し、現地では混乱、困惑が広がった。
未認定患者の救済問題は1995年、約12000人が一時金を含む救済策に応じて和解し「政治解決」した経過がある。
この解決をリードした自民党は今回の混乱に「すでに結着した問題だ」と当初は反発、動こうとしなかった。
公明党は現地を調査。95年の際は、差別を恐れ手を上げなかった人や高齢化の中で病気への不安を高める人、多くの人の叫びに新たな救済の必要を痛感。自民党の理解を求め、今夏に与党プロジェクトが発足した。
「救済すべきものを救済」「同じ被害に同じ救済」との原則で、未認定患者が望む一時金を含む新たな救済策をつくることで与党が合意。ただ公的な検診資料がある人は一割程度しかないため、水俣病としては初となる1万人以上を対象とする実態調査を実施することまでこぎつけた。
未認定患者は老いている。早い解決が不可欠だ。現場の声をあくまで届けながら、今度こそ最後の解決となるような救済策を実現したい。
(2006年12月20日付・公明新聞より転載)