福岡大空襲から65年目の19日、福岡市で戦没者慰霊式典があり、出席した。昭和20年6月19日深夜、B29による焼夷弾攻撃により、福岡市域の3割が焼失、死傷者は2千人を超えた。新聞記者時代にこの大空襲について様々な取材をし、二度と繰り返さないためにも語り継ぐ大事さを痛感。当時の取材で印象に残った一部を紹介する。
 「終戦が戦後の出発点とよく言われる。しかし、ぼくは、その土地、その土地の空襲こそ人々の転換期であり、出発点だと思う」(福岡出身の芥川賞作家、岡松和夫氏)
 「新しい魂の中に刺青された地獄の絵姿。そいつが消えぬ。拭っても消えぬのだ」(福岡の作家、原田種夫氏の詩)
 「話しとうなか。焼け死んだ姿は年月がたてばたつほど胸に突き刺さる」(家族全員が亡くなった遺族)
 「大小(大人か子どもか)不明」(福岡市20年度火葬台帳綴の記載、名前もなく当時の混乱ぶりが伝わる)
 「鉛筆のすごい濃いやつでしょう」(福岡市内の小学生に「B29」のことを聞いたとき)