前作で、PITの班長だった水無月に、背後から刺され、倒れるときに首筋を強打し、四肢不能になった俊。意識も脳も健在で、スーパー車イスで復帰した俊は、PIT異動前の職場に戻り、やりかけていた仕事を完成。三年後。PITに戻る。

新たな班長となった俊が、水無月が背後にいるらしい殺人者を追う活躍を描いた今作。

罪を犯しながら軽い求刑や謝りもしないで逃げた悪人を殺して、ネットで称賛を受ける連続殺人犯を俊たちは今回ターゲットにする。どうにか最後には犯人にたどり着き、連続殺人事件は一応解決したものの、背後で糸を引いていた水無月にはたどりつけなかった。

ということはまだ続編が出るのか?


借りてきたから読んでみたが、やはり、この手の話はやはり趣味が会わないな。サイコとかホラーとかは苦手だ。

警視庁捜査一課直属の捜査支援分析センターに勤務していた蒼井俊に、今は分離したPIT異動が命ぜられた。心理学の手法を使い、犯人像を分析する部署で、これまで数々の業績をあげてきたプロファイラー水無月警部が率いる部署だった。

俊は犯罪予測システム開発のために、彼が持つビックデータ解析で勤務していた。任務途中の異動に最初は渋っていたものの、現在進行中のV連続殺人事件の解明が急務だと言われる。

ただ殺すだけでなく、遺体を損傷し、バラバラにして放置する異常なシリアルキラーの被害者が三人となり、彼も投入された。

しかし、彼の解析にはもとのデーターが必要であり、すべてを分析するにはコンピューターでも膨大な時間がかかるために、いくつかの条件でデータ~を抽出して、分析するしかない。

なかなか結果がでないなか、もと刑事が殺される事件が起こり、俊らはそちらにも力を削がなくてはならなくなる。八方塞がりのなか、少しづつプロファイルがすすみ、なんとかV殺人事件は解決する。

そして、もと刑事殺しに、退職警官が関わっていることが浮上。しかも行方は不明。立ち寄りそうな場所に別れて、刑事たちが監視を行うことになり、人手不足でPITのメンバー五人も監視の交替要員として出ることに。そして車イスの班長水無月まで、一番可能性の少ないところに派遣される。しかし、そこに犯人が現れ、水無月と連絡がとれなくなる。

駆けつけた俊が見たのはマンションの屋上から転落して死んだ犯人と、屋上にいた水無月。

一応犯人が自殺したと思われたが、俊はなにか違和感を覚えていた。

そんな俊に対して、水無月は異常な告白をする。

子供の頃に両親をなくし、叔父に引き取られたものの、性虐待を受け、叔父を殺し火事を起こしたと。以来、殺人の魅力にとりつかれた水無月。数々の殺人を行ってきたが、そろそろ捕まりそう。

子供の頃、警察官だった父と母親を殺された過去を持つ俊。帰宅して惨状を見つけてから犯人通報までの三時間。記憶にないと思っていたが、実は封印していた。当時俊を診察した精神科医でもある水無月は、俊の犯罪に気づいた。惨状を見た直後、父の返り討ちに会い、怪我をした犯人を追いかけて、裏の古井戸に落ちたのを見ていた。助けを求める犯人を無視して、死なせた。そんな過去を封印していた俊。

水無月はそんな俊こそ自分の後継者だと思い、PITに引き抜いたと。


なんとも嫌な話だ。読んでスカッとはしないし、俊はどうするんだろう?

あまり気は進まないが、続編も読むしかないか。

富士山の麓にある樹海ににた神森の森林地域。そこで五歳のASDの男児、真人が行方不明になる。そばにいた母親から突然姿が消えた。なにかに興味を持つとそれだけに集中してしまう真人。

地元の警察や消防団が探してくれたものの、ようとして見つからず、不安を募らせていた母親。

一週間がたち、絶望視されていた真人が発見された。特別怪我もせず、異常もなく、元気そうな真人に、食べ物や飲み水、さらには夜の寒さはどうしたんだろう?

まともに受け答えができない真人に聞いてみても、くまさんにあったというばかり。

真人が戻り、安心したシングルマザーの母親、岬だが、世間は冷たい。ネットで彼女を非難、侮辱する投稿で盛り上がる。

なき夫の弟の冬也は、そんな岬たちのために、悪質な投稿者を探しだし、告訴しようと思う。

また真人が一週間、どのようにしていき延びたのか?それを明らかにしようと思った。

帰ってきてから真人が変わったこと、口にする言葉や見慣れない持ち物を手がかりに、誰に会い、何をしたかを明らかにしようとする。現地にも行き、調べる。

こうしてすべてが明らかになったとき、癒しが。

真人の失踪当時、数人の男女が神森に入り込んでいた。

ソロキャンプの様子を投稿するユーチューバーの拓馬。

別れを切り出された恋人を殺してしまい、遺体を埋めようと来た美那。

もとやくざの谷島は、フィリピン人の女性との間にできた娘が心臓病で、海外で移植手術を受けないと死ぬと知り、組の闇金1000万あまりを盗みだし、娘がいる仙台に向かう途中、組の追っ手に追われて、神森に迷い混む。

生徒からいじめを受け、自殺しようと神森に入り込み、首吊りに適した樹木を探していた中学教師の理実。

彼らとの邂逅のお陰で生き延びることができた真人。

それを明らかにできたとき、人生っと捨てたものではないと感じさせてくれる。なかなかよかった。