これはまた変わった趣向の警察小説。
タイトルを見て、タレントなどが警察のキャンペーンで、一日署長を勤める話かと思ったら、全く違う。
看護師の経験がある若い女性、五十嵐いずみは、警察学校を首席で卒業し、警視庁本部に採用された。とはいえ、赴任先は本部庁舎地下三階にある資料編纂室。捜査資料をひたすらパソコンに打ち込んで電子化するだけの職務。優秀な自分がなんで島流しのようなとこに配属されたのか?不満たらたらのいずみ。
前任者は定年を迎えたおじさんで、ここに三十年いたという。中身は最新だが、見かけは古いパソコン、ポルタを紹介するだけで、業務の引き継ぎはなにもしてくれない。ただ一言、一日署長、と。
迷宮入りした事件の資料を打ち込むために、その内容もしっかり読み込んでいくいずみ。未解決事件に興味を覚えると、あら不思議、突然ポルタに怪しげな光を出して。気がつくと、いずみは見知らぬ場所にいる。お決まりのように、そこには明治時代の警視庁の川路大警視の言葉が書かれた額。つまり署長室。
問題の事件が起こった管轄警察の署長に、いずみは変わっている。その署長に乗り移った感じ。
そして、捜査本部とは別に署長として独自に聞き込みをし、推理して、事件を解決に導いていく、そんな趣向の話。しかも、なぜか、タイムリミットは一日だけ。
解決して、もとの世界に戻ると、資料は消え、記録も新たなものに切り替わっている。
最初は1985年の放火事件
ついで、1999年の交番巡査自殺事件
三番目は1968年の強盗事件、警視庁と神奈川県警の連携ができず、宮入り。
四番目は1977年仮面ヒーローが好きな少年が誘拐され殺された事件
五番目は、2022年、ほんの昨日の奥多摩山中で見つかった身元不明女性の遺体事件。
なかなか面白くて、一気に読んでしまった。