なかなか読みごたえがある作品だった。

群馬県警を定年退職した警察官、神場は妻と二人で、四国遍路の旅に出る。二ヶ月くらいかけて歩いて回る。

旅の途中で、地元で幼女失踪事件が起きたことを知る。状況がにていることから、十六年前に彼が携わった事件を思い出す。犯人は逮捕され、いまだに服役中だが、実は当時から彼と上司の鷲尾は、冤罪の疑いを抱いていた。彼らの訴えは警察上層部に拒否され、以来、心の隅にわだかまりを残していた。

巡礼を続けながら、神場は自らのうちに再捜査を進めていく。思い付いた手がかりを、今も現役の鷲尾に伝え、捜査本部や上層部には秘密に、捜査をすることにする。足となるのは、かつての部下で、神場の娘の恋人でもある緒方刑事。

その緒方がついに、その極秘捜査の果てに、犯人にたどり着き、逮捕される。

物語はそこまでで、その犯人が十六年前の犯人であるかどうかは明らかにはされないが、もしも明らかになれば、冤罪を引き起こした責任から、神場は全財産をなげうっても、補償しようと決意する。

折しも神場夫婦は巡礼を終わらせ、最後の札所近くで、天気雨にあう。優しく降り注ぐ、慈しみの雨。慈雨。

多少コミカルな人情時代小説かな。

結構楽しめたし、最後のハッピーエンドがいい。

泉州岸和田藩士白鷺烏近は殿様の小姓頭を勤めてして、気むずかしい殿様を頓知でいなしていたものの、ある時ついにとがめられ、さらに殿様の娘、小夜姫と恋仲だと知れて、牢屋に入れられてしまった。父親からも勘当される。放免後行く宛のない烏近は、町人となり、大阪で働いたものの、どれも長続きせず、ついには裏長屋からも追い出された。そんな彼が土佐堀川で見つけた壊れかけの屋形船。持ち主が捨てるつもりだったそれを拝借し、それに住まうことになる。

かといって金もなく、そこで思い付いた商売が、彼のとんちを生かした、人の難儀を始末するという仕事。住まいの屋形船の手前にたてた看板には、こうある。ご無理ごもっとも始末処  いかなる難題も引き受けます  一件につき三十両、と。

こうして、彼のもとにやって来たもの。最初は旧藩の中老蚊取。殿様に川の流れを逆にして見せることになり、困って烏近を頼ってきた。彼はいかにして解決したか?


二番目の依頼は人魚の肉を手にいれれ、という難題。金主の年寄りを長生きさせるために要りようだと。架空の人魚をいかにして手にいれ、食べさせることができるか?


三番目は、城の屋上にあるしゃちほこをいかにして修理するか?誰にも見つからず、いかにしてシャチほこまで行くか?

いかのぼりを利用して、人をシャチまであげると言いながら、彼が使ったのは果たしてなんだったか?


四番目は座敷わらしを呼び戻せという難儀。最近客が離れ、商売がうまくいってないのは、以前目撃された蔵にいた座敷わらしがいなくなったから、だからそれを見つけてほしいと頼まれた烏近。果たして、いかにして探し出すか?


最後の難儀はなんと旧藩の殿様の愛妾からの依頼。ある山伏が藩主の命はあとわずかと予言したため、殿様が自分の声を幼い我が子に伝えたいと願ったという。どうすれば可能か?

これには実は愛妾の深い陰謀が隠されていて、烏近の活躍で藩の危機を未然に防ぐことになる。そのおかげて、烏近は恋仲の姫様と祝言をあげられることになる。ただし、姫様を町人の養女にしたうえで。

しかし、世間知らずで天衣無縫の姫様をめとって、どうなることやら?


教場シリーズ第四作。

昨日読み終えた「新・教場」の前作となる。ラストに、警察学校に行く辞令がでている。

てっきり、今作で風間が片眼を失った事件が描かれていると思ったが、違っていた。第一作や二作を読んだのはずいぶん前だから、覚えていないが、もしかしたら、第一作から風間は片眼がなかったのかな?

刑事指導官、風間公親。

県警捜査一課の刑事として、数々の犯罪を解決してきた風間は、刑事指導官として、若い刑事に捜査の指導を行う。これはと思えた若い刑事を県警本部に呼び寄せ、風間が相棒として、実際の犯罪の捜査を任せ、犯人逮捕まで、ヒントを言うだけで、若い刑事が自ら考えて、逮捕させるまでを見守る。

今作では、到叙ミステリーのように、最初に犯行が行われるまでを、犯人の目を通して描き、そのあとに若手刑事が風間の叱咤とヒントから、犯罪を自ら解決に向かうまでが描かれる。

全体を通して、風間の眼を奪った犯罪者、千枚通しの犯行は継続中で、話には出てくるが、それは語られない。

交通事故で眼前で母親を失くした少女は、母の再婚相手に育てられていた。事故以来失語症になり、たまに喘息のような喉から音が出るのを気にしていた。父親は加害者が罪を認めるように迫っていたが、相手が認めないので殺害を決意。自ら作った偽造拳銃で犯行。

彼の罪を暴いた決めては、なんと娘の喉の異音だった。

ゼミ論を却下された大学生は、就職も内定していたので、教授の自宅まで行き、抗議するも認められず、かっとして殺してしまう。教授の仕掛けた罠に気づかなかったあわれな大学生。

恋人の自殺のきっかけになった窃盗犯を、通り魔を装って殺そうとした女性。犯罪には思いもかけないことが起きる。刺殺して立ち去る予定が、無駄な後始末をしたことで墓穴を掘った女。

出産間近な女子大生は、堕胎しろといって、海外にいった芸術家が、帰国したら子供を寄越せと言い出し、子供をとられたくなくて殺害。その直後に自らの手で出産したが、その際に、赤ん坊の足をやけどさせてしまった。それが決め手となり逮捕される。

闇サイトでもうけていた男女、男が切り出した別れ話。似た者同士の二人は似た殺害方法、毒殺を互いに仕掛けた。男の毒は速攻死に至り、女の毒は逮捕までに殺せなかった。

盲目のもと大学教授が、自宅で娘婿を殺害。詐欺師で、娘への暴力に我慢できずに犯行したものの、罪に服する気はない。盲目ではできない殺害方法。風間たちは見事暴くことはできるか。