犯罪の捜査を科学的な手法で支援する科学捜査研究所。各都道府県におかれているが、警視庁の科捜研には、科捜研の砦と呼ばれる二人の技官がいる。副所長の加賀警視は、数々の重大事件を担当した鑑識官であり、新たな証拠検出法を編み出してきて、鑑識の神と呼ばれる存在。その部下で優秀な能力はありながら、人付き合いが苦手で、どの所属にもはいらず、加賀の直下で働く土門。
その土門がかかわる事件の捜査を描いた四編からなる。
各編では、土門にかかわる他の技官や警察官が描かれ、彼らの視点から土門が描かれる。
最初は千葉県にある警察庁管下の科学警察研究所の研究員尾藤。本来は研究が主体だが、頼まれて事件捜査の手伝いもする。白骨から生前の頭部を復元する尾藤の技術と、土門の協力により事件は解決する。
二編目に登場するのは交通捜査課の警察官三浦。単なる酔っぱらいによる事故だと思われたのに、土門の鑑定報告が遅れていていらついていた。土門の鑑定により、単なる事故ではなく、殺人事件の疑いが出てきて、様相は一変する。殺人を実証するために活躍する土門により、真犯人が見つかる。
三編目に登場するのは大学講師の菅野。講師を続けるために研究論文を捏造しかけた彼女を引き留めたのは土門だった。
彼女の技法により、見えない毒が明かになり、事件は解決する。
最後に登場するのはなんと最初に出た尾藤。いまや土門と結婚していた。しかし、新婚気分にも浸れぬ日々。火事により焼死したかに見えた事件だが、疑問がある。更なる鑑定をしようとする土門に消極的な加賀。被害者は加賀の娘を車で引き殺した男だった。もしも事件になれば容疑者は加賀にもなりうる。土門と尾藤二人の新たな鑑定法の捻出により、殺人を実証し、加賀を逮捕させるに至る。
なかなか読みがいがある作品だった。法医学者ものは読んだことがあるが、その他の科学捜査に関してはあまり読んでいなかったから、新鮮でもあった。