久しぶりの時代小説。
修験者姿の美男子が全国を巡り、欲にとりつかれた人々に小さな鐘を取り出す。金持ちになれる鐘として噂に上ったことがある遠州小夜の中山、観音寺の梵鐘。
群がる人々に嫌気がさした住職は鐘を井戸深くにうめ、代わりに罪をおかした小坊主に雛形の鐘を持たせて、全国を旅させた。
鐘をつけば、欲は叶う。ただし、現世では。代わりに来世では無間の地獄に堕ちるし、その子は現世で地獄を見る。
それを承知で鐘をつくのは勇気がいるが、欲にとりつかれた者は後先考えず、鐘をつく。
幕末から明治にかけて、欲にとりつかれた人々を描いた話。