全著連、全日本音楽著作権連盟に勤務する橘樹は、上司に潜入スパイを命じられる。楽器メイカーのミカサが運営する音楽教室。そこで使用される楽曲にも使用料をとろうと考えた全著連は、音楽教室に生徒として、社員を送りこみ、利用の実態を把握し、利用曲のリストを揃えて、潜入社員を裁判での証人にすることを画策した。

最近橘は不眠症で診療所に通っていた。悪夢をよく見る。深海のような暗闇に引き込まれる悪夢。彼は五歳から十三歳までチェロを習っていた。長いこと離れていたが、それを知った上司は橘をチェロ教室に入学させる。週一で教室にかよい、二年間潜入予定。

講師の浅葉の指導で、忘れていたチェロの魅力を思いだし、夢中になる。浅葉の他の生徒たちともしりあい、仲良くなる。

二年が過ぎ、裁判が近くなり、やめることをどう切り出すか悩んでいる橘に、思いもよらぬ知らせが。彼の上司とは別の派閥でも、同じスパイを放っていて、フルート教室に通っていた女性が、裁判の証人になると。お陰で、正体を現さずに済んだ橘だが、彼の言動に不振を覚えた浅葉とのいい争いで、橘は正体をあかし、教室をやめる。

職場でも上司と言い争い、閑職へ。チェロをならいはじめて収まった不眠症にむたなやむ橘。

自分から勝手に切った教室仲間との連絡。その一人と、あるチェリストのコンサートで出会い、仲間たちのコンサートに誘われる。そこで浅葉とも再会した橘は、再び教室に通うことに。けじめとして、全著連を退職。


意外と楽しめた。