アメリカから三十年ぶりに帰国した沙希。アメリカの大学に勤めていたが、所属する日本語学科がなくなり、失業。年下の夫とも離婚し帰国。

母校の女子大で講師をすることになり、近くにある伯父の家にすむことになる。伯母の夫で、今は施設にいる伯父。空家を放っておくのも問題だと、格安で住まわせてもらう。武蔵野大地の一角で、うらはぐさ地区と呼ばれる都会に近い田舎。古い商店街は大学時代の思いでの地。

そこでさまざまな人と出会う沙希。

伯父の碁の友人で、なにもしない伯父の代わりに、庭の手入れをしてくれる秋葉原さん。商店街の足袋屋の主だが、まともに就職もしないで生きてきた秋葉原さん。中年は両親を介護し見送った。七十台の秋葉原さんは三年前に、同世代の老女と知り合い結婚。店先には足袋と奥さんが作るキルト細工の品が並ぶ。

大学の生徒で、敬語がおかしなマーシーと体育会系の、その友人パティ。

小学校の校長で、屋上で児童に野菜をつくらせ、調理して食べさせようとする人。秋葉原夫妻が自宅の屋上に野菜畑を作っているため、秋葉原に講師を頼む。

沙希の同僚の講師で歴史学を教える来栖先生と、その恋人であるリサーチ会社経営の男性猿渡。

道路拡張のために、商店街に危機がせまり、伯父がなくなり家を売ることになり、沙希の居場所がなくなりそう。

はたして沙希はどうするか?