群馬から上京し、大学生になった暖平。実家は写真館で、最近はもっぱら学校の記念写真をとっている。手伝いに駆り出される彼は、客に愛想がよい父親がなんか嫌で、実家を離れるためにと東京の大学に。人見知りで、友人もいない彼は、乏しい仕送りのために、バイト生活するしかないとあきらめていた。
入学式の直前、桜の木の下で、着物姿で落語をする男に目が止まり、つい話に引き込まれてしまう。
秋葉原でこたつを買ったものの、配送料が足りず、背負って帰ることにしたものの、帰宅ラッシュで混む駅前で途方にくれる。折よく目の前に止まった車から、送っていこうかと、声をかけられる。先日見かけた落語をしていた男だった。
文借亭那碧、あやかりていなあおい。落語研究会の部長だった。
それが縁で、落語研究会に入ることになった暖平。部員は他に男子二名女子一名。
聞いたこともない落語だったが、暖平はいつのまにか、部の雰囲気を楽しみ、落語に引かれていく。
部長からは、人生の指南をうけて、次第に生き方が変わっていく暖平。
最初はお手軽な話だと思っていたが、どうしてどうして、なかなか含蓄があるいい話だった。
喜多川さんの他の作品も読んでみたくなる。