もと警視庁の刑事だった樋口。非番の日、妻と三歳の息子と遊園地に来たが、ちょっと目を離したすきに、息子をさらわれてしまう。それがきっかけで離婚し、刑事もやめた樋口は、今は政府関係者から依頼を受けて調査などをする組織の一員になっている。

そんな樋口が今回、命じられたのは、北陸の小さな海辺の町の駐在所の警官の失踪事件。これといってなにもない寂れた村に何が隠されているのか?

失踪した警官は公安関係らしいといわれていた。となると相手は、海外か。

村には簡保ホテルをリニューアルした、複合施設がある。老人ホームや児童養護施設、青少年の更正施設に、病院まである。支援母体は有名な中国の医薬品会社。

老人が転落死したこともある。

施設の実態はなにか?樋口は、新たに赴任していた駐在所の警官を助手にして、施設などを調べ始める。

アルツハイマーの老人しか収容しないとか、軽微な犯罪しかしていないと言われていた青少年が実は凶悪犯ばかりだった。さらに、施設全体で栄養剤として配布されている薬物には不正なものが混入されていた。いわば、特定の薬物の非合法な人体実験が行われていたらしい。

その影響が顕著に出たのが小中学生で、覚醒剤のような効果が出て、ついには殺人を犯すことにまでいたる。

樋口は真相を突き止めることができるかどうか?

暗い印象の話で、あまり楽しくはなかった。