青春小説を 書いてきた著者の新作、それは青春の終わり?
博士号を持ちながら一介の研究者として、大学で期限つきの講師をしている35歳の瀬川朝彦。五年の任期前の三年でクビを言い渡された。古事記に魅了され、その研究に青春を燃やしてきたものの、先行き不透明な現実が目の前に。
そんなとき、母校で居候していた先輩の小柳が、母校が所有する貴重な古事記の古文書をもって失踪する。十年後の自分を見せられたような気がした朝彦。
同期の栗山はいち早く研究者をやめて、人材派遣の会社を立ち上げ、人並みの生活をしていた。将来のために、少しでも金を稼ごうと、そこに登録して、レンタルフレンドを始めた朝彦。そこで出会った人々の人生の一面を経験することで、朝彦は研究者を卒業する決意を固めていく。
朝彦の物語の合間に間章として、失踪した小柳の足跡をたどるエピソードが描かれて、二人を対照している。
最後に小柳は広島の山で、かつて研究のために訪れた古事記ゆかりの地で、遺体が見つかる。自殺か事故死かはわからないまま。盗んだ文書は、麓の駅前の蕎麦屋に預けられていた。亡くなった店主が置いていたその土地にゆかりの本棚のなかで。偶然店に入り見つけた朝彦。持って帰ることにした。そして彼には新しい就職先が見つかる。