弥勒シリーズ最新の第十二巻。

元刺客の小間物問屋、遠野屋の主、清之介は寝耳に水の知らせを受ける。

故郷である西国の嵯波藩で、紅花作りに多額の投資をしている清之介。嵯波から船便で、江戸の店まで運ばせているが、その船が行方不明に。同じ頃に出た船はみな無事についたのに、事故の知らせも襲われた知らせもなく、行方知れず。途方にくれ、まずは番頭を調べにやる。

遠野屋で下働きをしているおつやが、さらわれそうになる。実は豪商八代屋の縁者で、先代の主には娘のようにして育てられたが。先代が殺された騒ぎのあと、清之介が引き取って、下働きをさせていた。本人はそれを苦にすることなく、喜んでいた。八代屋の手代がいきなりあらわれて、彼女を連れ去ろうとしたが、本人に拒否された。

それを見かけた町奉行所同心の小暮は、遠野屋に再び危機が迫るのを察知する。

武家屋敷裏で刺殺体で見つかった男。小暮の見立てでは、なりは町人だが、実は武士らしい。その屋敷は調べると、浦賀奉行所のもと与力の屋敷。

一見無縁な三件の事件が、遠野屋に関わりがあると見込んだ小暮。藁をもつかむ思いで、小暮の説明を聞いた清之介は、彼を襲う新たな危機に、いかにして対処するか?

今回は、清之介が、剣を使う場面はなかった。もうないのかな?

ラストの場面は、遠野屋の危機はまだ去ってない雰囲気だが、次回はいかなる危機が訪れるのだろうか?