病気のため、仕事を続けられなくなったものの、小さい頃から好きだった物語をためしにかいてみたら、運良く、新人賞を得て、作家デビューした羽見晃29歳。上司の紹介で、不動産会社の重役から新しいすみかのマンションに引っ越す。墨田区にある2階建て、10室だけの小さなマンション。まるでフランスのようなステキなマンション フォンティーヌ。白いアーチの入り口、噴水のある中庭。近くには昔ながらの商店街もあり、駅にも近いから、車は不要。だから駐車場はない。

大家さんは数奇な運命で、十歳までいたパリを離れて、日本に来たフランス人の老女、78歳のリア~ヌさん。とはいえ、今では日本に帰化して、日本語にも日本文化にもくわしいリア~ヌさん。

彼女の要望で、ここには人柄がいい人しか入居できない。彼女が面接して、決めている。だからみな、わけありだが、仲良く、なにかあったときには協力して解決する。

新しく管理人になった嶌谷は、渋いイケメンでがたいもいい。入れ墨があるらしく、やくざだったこともありそうな。

三十年も暮らす大学教授の深雪。

印刷会社勤務の夫、幸介と、出版社勤務の妻、菜名は、共に子ができない病の三十代夫婦。かわいいのに、空手有段者の菜名。

建設会社勤務の倫子と同居するのは、幼なじみの後輩で、ファッションブランド店勤務の麻実奈。どうやら二人は同性愛者。

シングルマザーの百合は、DV夫と離婚して、五歳の娘と暮らすが、今も夫を恐れている。後半では、駅に姿を見せた元夫をなんとか諦めさせようと、マンション住人が協力して対処する。

さらに幼くして両親をなくした嶌谷には施設に入り、養子となった妹がいたが、なんと二十年ぶりに、兄と対面する。菜名と友人で、晃の担当者になった編集人の杏子。再会を機に、彼女も空室に入ることになる。

DV夫の対策のために、偽装で夫婦になった百合と嶌谷。もしも本物の夫婦になったら、二人にマンションの行く末を委ねようかと、夢想する大家のリア~ヌ。

なかなか楽しい物語だが、少しだけ現実離れしてるかな?