以前に続編の伽羅の章を先に読んだが、ようやくこちらも読めた。一種の家族ストーリー、しかも、小路さんらしく、登場人物に悪人がいない。現実味がなさそうで、やはり泣かされてしまう。
主人公のまひろが、初めてからさんの家に来たところから始まり、ラストは生後すぐに離婚して、行方が知れなかった実の母親に再会し、その死をみとり、そちらの祖父母と再会するところまでを描いている。
複雑な生い立ちをもつまひろは、血の繋がらない祖母の住む屋敷に住むことになる。実の両親は生後、離婚し父親に引き取られ、父の再婚で義母をもつも、新婚旅行中に交通事故死。義母の妹で未婚の叔母の養女となり成長。その叔母が結婚した直後に、新たな義父が北海道に転勤となる。ちょうど高校を卒業したまひろ。就職予定の会社が不祥事でつぶれ、行く先がなくなった。義父の提案で彼の母親が住む洋館で、家政婦兼助手として住み込むことになり、そこへ向かうところから物語は始まる。
義祖母からさんは、波乱の生涯を送ってきて、現在は実家のレンガ造りの二階建ての洋館にすみ、三人の下宿人を置いている。
からさんは72才の文筆家、詩人、画家として活躍しているアーティスト。
五十代でジャズシンガー、スナックママの祐子さんは、もともと実家が近所の顔見知り。
三十代のもと引きこもりだったヤマダタロウは、アーティスト。
建築学科の大学生柊也は、ヤマダと知り合ったことが縁で、下宿人となった。
他に、長年からさんの担当している出版社編集長のレイラと、からさんの甥で、刑事の三原が屋敷に出入りしている。
そんな彼らの近くで起こる様々な出来事を通して、家族とか、生きることを考えさせる物語。