なかなかよかった。
地方の弁護士事務所で雑用係をしていた諒佑のもとに、知り合いのやくざ、犬養から、幼馴染みの誠の捜索依頼が持ち込まれる。誠はやくざの息子で今は東京にすんでいた。
そのあとからは、十数年前の彼らの生い立ちが語られていく。
やくざの息子と言うことでいじめられ、学校をサボっていた誠。守役として犬養がついていた。
父親の暴力から逃げ出した母親は、一旦は愛するひとにめぐり会うも事故死でなくす。夫に殺されたと思った母親は、幼い双子の息子、諒佑と娘、美子を連れて田舎に移る。居所を隠すために住民票を移動させなかったために、三人とも公的支援を受けられず、子供たちは無国籍だった。そんな二人は誠と出会い、仲良くなる。
さらに彼らには、タイ人で違法滞在者の両親をもつ二人の子供たち、姉のマヨンチットと弟のククリンと知り合い、仲間になる。
学校にはいけなくても、自然豊かな山里で、勉強したり遊んだりして、楽しい時間を持てた彼ら。
そんなある日、山のなかで吹き出していた毒ガスにより、ククリンと愛犬がなくなる。以来、命日であるクリスマスイブには会うことに決めていた。
さらに、彼らを暖かく見守り、親をなくした彼らを住まわせてくれた山持ちのじいさん。彼がある日、喉を書ききられて死んでいるのが見つかる。遺産は、唯一戸籍をもつ誠が引き継いだものの、以来楽しい日々は終わる。
誠は失踪前に、命日には参加できないと、諒佑に伝えていた。じいさんの死と関係があるのか?
諒佑は誠と関係のありそうな場所を訪ね歩いて、彼の足取りをおう。
得体の知れない連中に襲われたりしながらも、探索を続けた諒佑は何を見つけ出すのか?
じいさんは戦時中、陸軍中野学校にいて、華族などから集めた宝石などを戦後、密かに隠匿し、それを守り続けていた。それを狙って暗躍したのが諒佑、美子の父親である警察官僚と、誠の父親である地方やくざの親分だったことが、事件の背後にあった。