サブタイトルが、昭和36年のミステリ。

NHK勤務後、テレビアニメの脚本家を経て、ミステリー作家となった著者。

戦前の名古屋を舞台にした「深夜の博覧会」昭和12年、戦後の「たかが殺人じゃないか」昭和24年に続く昭和ミステリシリーズ第三作の本書。

舞台はNHKのテレビドラマの創早期。

プロデューサーになった大杉の計らいで、ミュージカル風のミステリドラマの脚本を頼まれた駆け出しミステリ作家、風早。苦労して脚本を完成させ、なんとか俳優も揃えて、本番を迎えた当日。フィナーレ直前に、主演女優が刺殺される事件が起こる。スタッフの機転で、生放送のドラマは無事に放映できたが。

俳優とスタッフたちが閉じ込められた密室状態のスタジオ。互いの目があり、誰が犯人かわからない。

そんな不可能犯罪の謎解きをするのは、シリーズ前作にも登場した風早と美術課社員の那珂。

未だ生放送で番組を作っていた当時の様子を生々しく描いていて、興味深い。

犯人も予想外の人物で、ミステリとしてもよかった。

一昨年に既読していたが、あまり覚えてなくて、楽しめた。