警視庁捜査一課・碓氷弘シリーズ第四作。このシリーズでは刑事碓氷が立ち向かう事件は少し異質な事件のようで、最初が地下鉄駅構内での爆弾テロ、ついで、秋葉原でパソコンマニア、日本と海外のやくざなどが入り乱れ、銃撃戦を起こす事件、三作目は悪がきが次々と殺される連続殺人事件。

そして担当になった碓氷刑事は、専門家の協力を得て、そのサポート役になるのがお決まりらしい。

今回は渋谷、新宿の駅前広場で通り魔事件が起こり、近くにある派出所警官により、現場で逮捕される。一件落着と思えるのだが、碓氷は疑問を抱く。

警官による逮捕前に、一般人により先に犯人が拘束されていること、逮捕後、その協力者がいなくなること、彼を見ているはずの警官の誰一人も、協力者の人相や服装を覚えていないこと。

誤認逮捕を恐れた上層部は、警察庁から心理調査官を呼び寄せ、捜査に協力してもらう。若くて美人な心理調査官、藤森の相棒となるのが碓氷刑事。

彼女の助言から、真犯人は協力者で、近くにいた無実の人に犯人すり替えをしていたことがわかる。心理的トリック説に、はじめは半信半疑な捜査本部だったが、ついには彼女のプロファイリングにより、犯人に罠を仕掛け、逮捕に至る。

なかなか面白かった。最初は自信なさげな藤森に、不安はあったが、ついには見事解決に導く。