昨日から読みはじめて、ようやく読了。
劇的な事件が起こるわけでもなく、スピーディな展開があるわけでもなく、たんたんと話者が独白する章が羅列していて、最初は少し退屈だったが、読んでいくうちに、何か気になってきて、最後まで読めた。
東京近郊の田舎街の丘の上にある木橋、水無瀬橋で、男の刺殺体が見つかる。
三本の搭と水路が縦横に張り巡らされた、その町は観光名所にもなっている。
死んだ男は平凡な顔立ちで、一年前に会社から失踪していたことがわかる。
偽名を名乗り、町に住み着いた男は、この町に関心があるらしく、町を歩き回ったりして、人目にもついていたが、何が目的なのかはわからなかった。
その後彼と瓜二つの弟や、彼のことを調べるために来た男や女がいて、町でも噂になる。
彼はなぜ死ぬことになったのか?何のために、この町に来たのか?
この町にはある秘密が隠されていた。遥か昔からある仕掛けをかけられていた。そのために作られた三本の搭。高い柱の上に設置された箱形の建物。神を祭るのか、今ではほとんどのものが知らない町の秘密。遥か昔から、この地域の地主であり、建築土木業を営む一族、彼らだけが秘密を知っていた。
死んだ男は映像で見たことを忘れないという能力を持っていて、そうした特殊な能力は一族のなかで時たま現れていたらしい。町の秘密を解明したらしい男は、その能力により早死にする宿命を持っていた。彼の死は自殺だったのか?遺体のそばに凶器が見つからず、他殺と断定した警察はついに犯人を見つけられなかった。
ある日訪れた町を襲う未曾有の豪雨、その結果、町の地下に大量の水がたまり、町は浮き上がる。浮き島状態の町だった。排水では追い付かない水の処理のための、水抜装置が地下に作られていて、その水の放水箇所が三つの搭のある場所だった。そこを建築物で塞がないようにするために建てられた搭。いつしか忘れ去られ、祭祀の場所とか、町のシンボルとなり観光名所になっていた。