公正取引委員会の審議官、白熊楓が奮闘するシリーズ二作目。
前作で、九州に赴任することになった楓が、福岡県のある市にある公正取引委員会九州事務所で活躍する。案件は呉服業界の不正。反物メーカーから不当に返品されたと言う通報が端緒だった。
メーカーと呉服店との間にはいくつもの業者が介在していて、しかも彼らからは楓の事情聴取の訪問を受け付けてもらえない。
とある呉服店に何度も通うが話してもらえない。しかもそこで脅迫状と思われる郵便物を見かけ、よけい心配になるも、店主は事情を話してくれない。九州北部のこの地ではいまだに暴力団が、古強者の県会議員の背後にいて、金になることには首を突っ込んでくる。
脅迫状には、調整にもどれ、という言葉があり、それは何らかのカルテルがあったことを匂わせている。しかし、カルテルは、独占禁止法の第三条にある重大案件で、地方事務所が申し出ても調査をするのは東京の本局扱いになる。それが嫌で調査をしたがらない上司を説得するために楓たちが主張したのは、第十九条案件の納入業者いじめになる不当な返品案件。その調査の審査を受けるために、久々に上京した楓。担当部署は古巣の第六審査課で、懐かしい人と再会する。
経済産業省が推進する着物ファッションショーが京都で開かれることになり、それには関係する北九州の呉服業界も参加する。そこに潜入捜査をして、なんとかカルテル疑惑の一端を知ろうとする楓たち審議官。
楓たち九州事務所審議官は、古巣の本局の第六課の面々と共に、内偵をすることになり、ついには、談合現場に立入検査するものの、直後に暴力団が銃撃する騒ぎになり、せっかくの証拠ビデオを奪われてしまう。
さいわい、県会議員や暴力団と呉服業界の中間で働いていたものが、上司に罵倒されたことで、楓に談合現場のビデオを新たに持ち出してくれたことで、カルテル疑惑の証拠が揃い、案件解決を迎えることになる。
今回、異性関係にうぶな楓の前に現れるのは、内偵の王子と呼ばれる先輩審議官、常磐。内偵して疑惑案件を見つけても最終的には本局に手柄をとられてしまう地方事務所の審議官だが、彼は出世には目をくれずに頑張る男らしい。その代わりに、時間にはルーズだし、待ち合わせた相棒の楓と会うこともまれ。実は旧財閥系のグループ会社常磐グループの御曹司だとわかる。ただ暴力団追放を掲げる県会議員だった伯父の影響で公務員となった彼は、親からは勘当されて審議官になった。ただ、地域の人々には顔が利くし、見た目も色男で、色々ネタを仕入れやすいため、疑惑案件にも触れやすいので、成績はすばらしい。
大学時代の先輩との結婚話はおじゃんになり、エリートの後輩、小勝負とも、過保護の母親からも離れてきたため、寂しさのあまり、次第に常磐に近づいていく。
さいわい、本局の古馴染みと共同で捜査をすることになり、再会した小勝負から、常磐は女たらしだと忠告されたことで、深みにいかなくてすんだ。しかも、常磐は、ラストで地元の親友の殺人に気づきながらも、証拠隠滅などをして犯罪をおかしたことが、小勝負により、あきらかになる。証拠がなくて罪には問えないが、そんな男とは楓は合わないな。
その常磐の策略か、楓は通常は二、三年の地方赴任が半年で切り上げられて、本局に戻ることになる。
次回はまた本局での活躍が見られるのかな?
小勝負の生い立ちもあきらかになり、なぜ楓に引かれるのかもあきらかになり、今後二人がどうなるのか?興味はつかない。