著者はマイクロソフト社に勤務する白木健嗣さんとあるが、IT関係の描写や説明が懇切で、素人にも何とか読めた。

あかつき自動車が自動運転の車の公道走行の実験の最中に、車が急停車し、後続の大型トラックが追突して大破。乗っていた運転手が死亡する事故が起こる。

運転手が急停車するような外的原因もなく、その原因を探るべく話は展開する。

さらに、脅迫メールが会社に届き、会社の機密情報も手に入れられるとあったことから、交通部だけでなく、警視庁の捜査一課やサイバー対策班からも刑事が参加することになる。

サイバー攻撃も考えられると、高度サイバー犯罪特別対策班が出動することになる。班長の真鍋と、捜査員の斎藤。

その斎藤に相棒として選ばれたのが、女性刑事前之園。

警察庁と警視庁が密かに用意していた新型の人工知能マリス。ギリシア神話の鍛冶の神の侍女であるロボットのヘパイストスを理想のマリス。それに、捜査で手に入れたデータを与えて、サイバー攻撃の痕跡を探るも、何も見付からない。

捜査は遅々としてすすまず、上司の指示で、現場嫌いな斎藤が前之園と共に、現場を訪れて、聞き込みをしてみたら、ついに原因に結び付く端緒を見いだす。サイバー攻撃は、車そのものにではなく、車が関知するものにされたもので、人間には感知できないものだった。

そこから犯人までたどり着き、事件は解決する。

犯人の狙いが、友人を殺したパワハラ上司へのこらしめだったというのは、なんか物足りない。死んだのが偶然だったというのは、どうかな。

最後には、長年旧式でパワハラを許す会社の不正を公表することになるものの。


本作は第14回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受けていて、巻末に島田荘司氏の選評が載っている。