警視庁刑事花房京子シリーズの倒叙ミステリーの長篇。
非番だった京子は、上司の係長綿貫に誘われ、北関東にある大きな刑務所の見学に訪れる。折しも満開の桜並木のもとで、一般に解放される刑務所のオープンデイ。昔の刑務所のあとが一部保存されていて、見学コースができていた。京子の目当てはこちらだが、綿貫の目当ては、午後に始まる有名女演歌歌手のライブショーだった。
所内にはいるとすぐに、綿貫は旧知の刑務官で、今はここの所長である倉田。
このあとに、所長倉田による首吊りに見せかけた殺人事件の様子が描かれていく。犯罪場面を描いたあとに、探偵役が捜査し、犯人を追い詰めていく倒叙ミステリー。
死んだのは、模範囚として、三ヶ月前に出所した名越。死後の捜査で、彼が実は幼児性愛愛好者であることが明かになり、それが殺害動機にか変わってくる。
倉田は名越を呼び出して、会った直後に合気道の技で気を失わせ、半高下を場に向かう途中で、とんでもないものを目撃してしまう。部下の看守長がやくざらしきものから、合成麻薬を受けとる現場だった。かといって、それを公にはできず、あとで苦悩する。その合成麻薬により、囚人二人が中毒になり、犯人として疑われた模範囚の若者を、当の看守長が取り調べて、罪を擦り付けようとする。事実を知りながら、公にできず悩む倉田。
犯罪直後に戻ってきた倉田の様子に疑問をいだいた綿貫は、自分が行っては疑われると、京子に疑問解明と事件の真相を調べることを命じる。
こうして、ちょっとした疑問を突き詰め、それにより、事件の新たな視点を確保して、別の様相を見つけて、解決に導く、お馴染みの京子の捜査が描かれていく。
長年刑務官として勤めてきた倉田にとっては、刑務所は聖域だった。絶対聖域だった刑務所内で、なぜ?倉田は犯行をしたのか?