吉原裏同シリーズ第40作。

寛政五年、吉原は苦境にあった。時に老中は松平定信、緊縮財政のために、世の中には活気がない。

吉原会所八代目の頭取となり、裏同心との一人二役となった神守幹次郎だが、吉原を再生させるために苦悩していた。

江戸を襲った大火事、普通なら客足が減るのに、なぜか見かけない客が押し寄せる。前回、密かに同盟を結んだ浅草弾左衛門が、手を回したせいだとわかるが、幕府に知られてはまずいと、取り止めとなり、郭内は閑散とする。

このために一番困るのは、その日暮らしの底辺の女郎たち。そんな切見世女郎たちの飢えを満たすために、神守は炊き出しをしようとするも、安く見積もっても、莫大な金子が必要とわかる。

何か手はないか、安い金子で食事を用意できないか?

神守は、女同心澄乃を吉原に隣接してある非人がいる浅草溜に行かせて、安上がりの食事の作り方を学ばせることにする。残飯や捨てられてしまうものをかき集めて、手間ひまかけて料理を作る非人たち。最初はなかなか喉を通らないような食事を我慢して食べ、その食材の収集から、手間ひま、そして調理法などを身をもって学んだ澄乃。ガリガリに痩せて、一月後に会所に戻ってきた。これでどうにか、安上がりな炊き出しの目処がたつ。

折しも神守宛にと火の番小屋の番太新之助の家に投げ込まれた慶長小判で百両。炊き出しの潰えにしてくれとあるものの、誰からのものかわからず悩む神守。結局、町奉行に差し出した。その後、小判が城中の金蔵から密かに持ち出されたものとわかり、下手人一派の始末を奉行から命ぜられた神守。勘定奉行と用心棒二人を、背後で操る老中の屋敷前で、澄乃と二人で、密かに始末する。

彼らの思惑では、城中の金蔵にあった小判を所持したかどで、吉原を潰そうとした陰謀だったのか?思い余って、神守が奉行所に差し出したのが幸いだった。

世間に評判が悪かった寛政の改革の立役者、松平定信が老中を解任された。これで、吉原に吹く風も少しは好転するかな?

その結果は、次回まで待たねばならない。


正直なところ、いまいち面白くないかな。なんか颯爽とした神守幹次郎が見られないのが、不満だな。


正月には、酔いどれ小藤次の新作が、時代小説300冊目として、出るらしい。

私が楽しみにしてるシリーズは遅々として進まず、その間に新たな短期集中の新シリーズが出るらしい。