本屋大賞第二位という広告文句が帯にあるようだが、確かになかなかよかった。美術関係の本はいまいち気がのらない時が多いものの、よかったと思える作品もいくつかあり、これもその一つかな。
大学時代オーストラリアに交換留学生としていったものの、引っ込み思案で友達もできず、つまらない毎日を送っていたレイ。バイト先の先輩に誘われて、公園でのバーベキューに参加。生来のレイらしく、誰とも話せずつまらない思いをしていた彼女に声をかけたのは、ブーと名乗る青年。日本人だが、幼い頃に両親がオーストラリアに移住して、画商をしていた。何度か会う内に親しくなり、帰国まで限定の恋人になった二人。そんなレイの肖像画を書きたいという若い画家が友人にいるという。引き受けてモデルになり、描かれたレイの肖像画の下絵、エスキース。赤と青だけでえがかれた。
連作短編集だが、この後の作は時間が経過していて、最後は三十年後の話となる。
レイとブーの恋の行方や、人生の歩み、レイのエスキースを巡り、かかわり合った人々を描いている。