中国武侠小 説の雄、金庸。十二作の長編小説をつくったが、本作は中でも一番短い、全二巻。しかも、他の長編に比べ、筋がスッキリしていて、主人公も一人だけと、読みやすい。
田舎で師父とお嬢さんと三人で、農作業のかたわら、剣術を習っていたぼくとつな主人公狄雲。彼が師父が属する剣術の一派による剣術の極意書、連城訣争奪の陰謀渦巻くただ中に放り込まれ、筆舌に尽くせぬ艱難辛苦に出会い、最後に救われるという単純な話だが、読み始めると一気に最後まで読まされてしまった。
最初から最後までひどい目に遭うばかりの主人公に同情するしかない。
あらぬハレンチ罪を着せられ、牢獄に入れられたばかりでなく、手の指を切り落とされ、肩甲骨に穴を開けられて、鎖を通されて、わずかばかりの武力を失い、愛する妹弟子に裏切られ、孤立無援で、数年間もの間牢獄暮らし。さいわい同じ牢にいた罪人から武術の片鱗を伝授され、世間に出たものの、孤立無援で辛酸をなめる。愛する女性は敵に嫁ぎ、信頼していた師父の正体に裏切られる。
終始暗い話なのに、なぜか明るい。それで最後まで読むことができた。
また金庸の未読作品を読もうかと思う。
これを読む前に、先に期限が来る市立の本二冊を読みかけたものの、どちらも中断。あまりに軽すぎるものと、陰惨で重いものと、両極端の二冊。読む気になれずやめた。