マカン・マランシリーズ第四作にして、最終作。

思えば、シリーズで最初に手にしたのが、これだった。第一編だけ読んで、オカマか、ということで、それだけで読むのをやめて、返却してしまった。

その後、他の作を読んでいいなと思うようになり、最後まで読みたいと思ったものの、図書館ではずっとない状態で、ようやく手にすることかで来た。

最後ということで、少し不安を感じていた。一時手術のために店を閉じて、姿を消したシャール。ガンらしいから、最後はなくなるのではないかと、密かに恐れていたが。安心した。最後は最後でも、店はまだ続くし、シャールもよくなったようだ。治療のために、頭髪がなくなり、かつらをかぶっていたシャールは、中年になって、毛がはえはじめたらしい。

エリート証券マンとして活躍していたシャールは、中年になり、進行性の死病になり、絶望。どうせ死ぬのなら、今まで抑圧してきた自分のしたいことをしたいと思い、退職し、オカマになる。服飾を学び、とある街の商店街で、ダンス服の店を開く。小さな店が、同じオカマの針子を何人も抱えるようになり、裏通りの一軒家を借りて、新たな店を開く。ふりの客はなく、馴染みしかたどり着けないような店。昼間は普通の仕事をしながら、夜だけオカマの姿で針子をする彼らのために、シャールはまかないの夜食を提供した。独学で料理や薬膳を学び、彼らの体のためになる料理を提供した。そんなシャールや店に偶然かかわり合った馴染みも増え、シャールは夜だけ開けるカフェ、マカン・マランを始めた。インドネシア語で夜食を意味する店名。

そんな店に偶然廻り合い、シャールや夜食に癒されて、人生を省み、新生した人々。

今回登場するのは、父子家庭で、なき母親の憧れだった名門校に編入したものの、自らを偽っていることに疲れた女子高生。

世界的な日本料理店に勤めた経歴を持ち、カリスマ料理人となったものの、ネットが炎上し落ち込んだ料理人。

故郷の漁村から逃げ出し、セレブ夫人となり、高層マンションに暮らしながら、満たされてなかった女性。妊娠がきっかけで、子を望まないばつ2の夫と疎遠となり、将来に不安を感じた。母子家庭の母と同じになると。

シャールと同級生だった今は教師の柳田。その生徒の美少女は、気持ちの上では男性だった。そんな彼をそっと押してあげ、シャールに救われ、今ははアメリカで暮らす若者。性転換手術を決意し、両親の許しを得るために帰国した若者と久しぶりにあう、柳田とシャール。

シャールは思い出していた、彼女に出会い、再生した人々を。

仮設住宅暮らしの友を思い、母の手料理を食べらルなくなった少年。

ディスりブロガーの女性。

息子の成長に不安を感じていた若い母親。

誰もが完璧な人生を送れるわけではない。迷いながら、不安を感じながらも、前を向いて歩いていく。周囲への感謝を忘れず、言葉にする。

それだけで、変わるものがある。そのきっかけになるためにあるシャールとマカン・マラン。小さな灯火だが。